意外と出る

田中丘隅

享保の改革では、役職ごとの基準の石高に足りない分を在職中にかぎって加増する足高の制が採用された。これによって登用された人物に田中丘隅がいる。田中丘隅は東海道川崎宿の名主で、農書『民間省要』を8代将軍徳川吉宗に献上したところ抜擢されたのだ。『民間省要』では税制、治水、駅制などの経済政策を建言しており、史料問題として出題されることもある。また、田中丘隅のような農村支配に長じた役人を「地方巧者(じかたこうしゃ)」と呼ぶこともまれに出題されている。2011年の学習院大では、類似問題で「地方」の読みが問われた。

出題例

8代将軍吉宗は幕府財政の再建を図るため,有能な人材を登用して幕政の改革につとめた。なかでも東海道川崎宿の名主で,荻生徂徠に学んだ彼は,1721(享保6)年に『民間省要』という意見書を吉宗に献じ,1723(享保8)年に吉宗に抜擢され,民政に貢献した。
この文章の彼は誰か。
A 室鳩巣  B 江川太郎左衛門  C 松平治郷  D 堀田正俊  E 調所広郷  F 太宰春台  G 田中丘隅

07年明治大(農)
解答:G

出題データ

09年上智大(外)、12年立教大(法)、13年早稲田大(商)、13年同志社大(社会)ほか。
09年中央大(法)、10年同志社大(政策)、12年中央大(会計)、14年同志社大(全)では記述形式で出題。13年中央大(国際)では東海道川崎宿で足高の制で登用されたことが正誤問題で出題。