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慶應義塾大学

廃藩置県によって藩を廃して府・県を創設……。一方、府・県の下位にあたる行政区画も、同年に制定された( a )により旧来の郡町村を廃止して( b )を設置した。こうして明治政府は、短期間のうちに維新以前の地方組織を解体し、中央集権的な地方制度を成立させたのである。
1.戸籍法 2.三新法 3.市区 4.市町村 5.大区・小区 6.地方自治法 7.地方分権法

a1 b5

94年(商)では2つとも出題。02年(法)・08年(経済)では大区・小区の方だけ出題。

廃藩置県から1871年のことだとわかりますね。
実際の問題ではその年代も空欄で問われていました。
1871年に制定された、地方制度に関する法律といえば戸籍法です。
戸籍法では大区・小区制が定められました。
その中身までは問われませんが、大区の中にいくつもの小区があるという区画制度です。
しかし、これも後にはなくなります。
1878年に郡区町村編制法が制定されて、ふたたび旧来の郡・町・村が復活するからです。
地方制度は細かいことに見えるためおろそかになりがちです。
慶應以外でも複数回出題している大学があり、まさに点差のつく問題となっています。

ところで、この問題を解いてこんなこともわかったのではないでしょうか。
「廃藩置県と戸籍法をつなげて覚えていたら、ラクに正解できたはずだ……」と。
授業で書いている板書ノートでは、廃藩置県と戸籍法が同じ年だとわかる位置に書いています。
このためたとえつながりを知らなくても、
ただノートを思い浮かべさえすれば自然と答えが見えてくるようになっているのです。
まとめノートを作ることの利点はこんなところにもあるのですが、なかなか気づいてもらえません。
なぜなら、(1)ノートを覚え、(2)問題を解く時にそれを思い浮かべて初めて気づくことだからです。
(1)と(2)のステップを乗りこえられる人は、賢くて初めから利点に気づいてしまう人と、
M体質の辛抱強い人と、素直なテンネンちゃんくらいだからです。
ちなみに山川出版の教科書『詳説日本史』では、
廃藩置県と戸籍法はかなり離れたページに書かれています。

両者の年代を完全に覚えていないと、関係性に気づかない可能性が高いです。
教科書だけで学習している人は、こうした落とし穴があることを知っておきましょう。