科学に基づいた正しい記憶法

最近、児玉光雄『上達の技術 一直線にうまくなるための極意』(サイエンス・アイ新書)を読みました。スポーツ系の上達の話からはじまって、記憶法にも触れている本です。マンガがたくさん挟んであって、気軽に読めるスタイルをとっています。著者の専門はスポーツ系のようですが、受験勉強に活かせそうな記憶法の話が出ていたので、一部を紹介します。

基本的に人間の記憶には、短期記憶と長期記憶があって、受験のためにはできるだけ効率よく短期記憶を長期記憶に移行させる必要があります。

一つのポイントは、おさらいをするか否かです。著者が行った実験では、まったくおさらいをしなかった人の忘却率は、2日後で平均86%。それに対し、10分後、6時間後、24時間後にきっちり復習した人の忘却率はわずか7%だったそうです。この「10分後」「6時間後」「24時間後」というタイミングの重要さはわかりませんが、たとえば授業内容は、その日のうちに思い出しながらノートの清書をしてしまった方がよさそうですね。その上で、翌日ノート覚えに入り、翌々日にチェックするという感じでしょうか。

それから、記憶するときはあらゆる感覚器官を動員するべきだそうです。人間の感覚というと、よく「視覚」「聴覚」「味覚」「嗅覚」「触覚」の五感を言いますが、それだけでなく「痛覚」とか「温度感覚」とかそれ以外の感覚も含めて、できるだけたくさんの感覚を動員して覚えた方がいいそうです。確かに痛かったことってよく覚えてますね。また山の話になりますが、以前に北沢峠のテント場で寒さにうち震えながら寝袋にくるまっていたことは、非常によく覚えています。装備が甘かった時代です。

そして、去年の藤沢の生徒には、日本史の勉強の際に特定の匂いをかぎながら勉強していた人がいました。彼は早稲田に受かったわけですが、合格報告のときに「先生が目と耳も使えって言ってたんで、鼻も使えないかって思ってやってみたんです」と言ってました。その時は首をかしげたのですが、いやいや意外と効果があったんでしょうね。

他にも睡眠の前と後の15分が大切だとか、逆境に立ち向かうメンタル面の大切さにも触れられていました。文字数が少ないので、もの足りなさもありますが、「やっぱり記憶法って意識すべきだよなあ」と思い直しました。

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