折りたたみ自転車でまわった佐賀・長崎(1)

佐賀と長崎に行こうと思った最大の理由は、吉野ヶ里遺跡と長崎を実感したかったからです。愛知と東京に長く住んできた僕にとって九州は、感覚的にあまりに遠く、九州北西部の海岸線なんて思い浮かべることすらできません。受験日本史では、古代史から始まって何かと話題の多い地域なのに、あまりにつかめていないのです。

前に一度だけ九州に行ったことがありますが、そのときは阿蘇山と熊本城と博多で終わってしまいました。今回はじっくり腰をすえて、佐賀と長崎をまわってみようと思い至ったわけです。

しかし今回の旅行には、もう一つ大きなテーマがありました。折りたたみ自転車を持って行くことです。買ったばかりの自転車を、無謀にも持って行きました。こういう旅行を一般に「輪行」と言うのですが、初めての輪行でいきなり電車・バス・飛行機のフルコースを味わいました。ホームで電車で飛行場で右往左往させられました。飛行場では、乱暴に扱われるのが心配で、ビニールのプチプチ緩衝材でぐるぐる巻きにしてもらいました。

佐賀空港に着くと、さっそく見渡すかぎり田んぼの中の道を、11km自転車で飛ばし、佐賀県立博物館に行きました。佐賀県全般を知ることから始めようというわけです。吉野ヶ里遺跡から出土したものも展示してあり、わかりやすい絵がありました。

勾玉・管玉・貝輪はこんなふうに飾っていたわけですね。想像も入っているのでしょうが、具体的にわかるのがいいですね。

つぎに博物館の向かいにある佐賀城本丸歴史館に行きました。

ここはボランティアの人が付き添ってくれて、僕一人に3時間近くも説明してくれました。高齢の方だったせいか、ところどころ間違っているのが難点なのでした。まあ素人なのですから仕方ありませんね。お話から、佐賀では名君・鍋島直正が讃えられていることがよくわかりました。鍋島直正の前では大隈重信もかすんでしまうのです。実際、佐賀城近くにある大隈記念館に行ったのですが、展示内容はかなりしょっぱいものでした。大隈先生が自筆の書をほとんど残していないというのが、残念なことでした。よっぽど隣接する大隈重信旧宅のほうが興味深かったです。「こんな家で育ったのか」と中をきょろきょろ覗きました。

入場料を払ったときに、もらったおつりの500円玉が、なんと大隈先生でした。

ホテル近くの海鮮料理屋で夕飯を食べたのですが、味噌汁の独特な甘さに驚きました。鯛のフライなんて初めてでしたが、骨までカリカリ食べられました。夜は『MARCH学習院あるあるチェック』の原稿執筆に励みました。