ワシントン会議についての定番の質問

相変わらず入試問題の入力を続けています。そして、中央大法学部や法政大の難しすぎる正誤問題にうんざりしています。消去法が使えないタイプで、選択肢を一つ一つ正誤判別しなければならないのです。中央大は内容が難しく、法政大のは一文が長くてやっかいです。いっぽう法政大では、大問すべてがほとんど文化史分野からの出題の学部がありました。これは大きな点差が付いたでしょうね。そうした出題傾向はさすがにもう把握できたでしょうか? 対策を急いでください。

さて、その最新の明治大学情報コミュニケーション学部の問題で質問がありました。ワシントン会議の結果、日本は山東省の旧ドイツ権益を返還しますが、これについての定番の質問です。以前にも記事にしたことがありますが、今年もまた質問を受けました。まず問題を解いてみてください。

問 下線(カ)に関して,正しいものを,(1)~(4)から一つ選びなさい。
(1) ワシントン会議の九カ国条約の参加国は,1922年の海軍軍縮条約加盟国の他に,中国及び中国に権益を有するベルギー・オランダ・ポルトガル・オーストラリアである。
(2) 1921年12月のワシントン会議において,米・英・日・中の協議により,日英同盟協約の廃棄が同意された。
(3) ワシントン会議の九カ国条約をうけて,日中交渉の結果,山東半島の旧ドイツ権益を,中国に返還することが決まった。
(4) ワシントン海軍軍縮条約では,主力艦建造禁止期間の延長や,石井ランシング協定の廃棄など,日本軍部に不満を残して,政府により調印された。

<Tさん>
石黒先生こんばんは。2011年明治大学の過去問で質問なのですが(中略)II.問6の正誤問題で、(3)がワシントン会議の九ヶ国条約をうけて、日中交渉の結果、山東半島の旧ドイツ権益を、中国に返還することが決まった。が正文となっているのですが、どうも納得いきません(-ロ-;)順序としては、
「山東懸案解決条約」で日中交渉

山東半島の旧ドイツ権益を、中国に返還することが決まった。

「九ヶ国条約」
と石黒先生がでる日講義「経済・外交史」でいってたような気がしたので(勘違いでしたらすみません〓)誤文と判断してしまいました。でも、そもそも他の選択肢は論外ということで正解はこれしかないかな、と思いましたが、これは僕のツッコミ所が細かすぎるのでしょうか??私大の正誤問題は細かい問題はどこまで言及すればいいかが曖昧で僕は苦手です(__;)

<石黒>
(前略)この選択肢では、九カ国条約を「調印して」返還が決まったとは書いていませんね? また九カ国条約「の中で」返還が決まったとも書いていません。『でる日講義−経済・外交史(近現代)−』で説明したとおり、中国の主権尊重をうたう九カ国条約を結ぶために(つまり九カ国条約の方針をうけて)、旧ドイツ権益の返還を定めた山東懸案解決条約を、日中間で結んだわけです。

前回の金本位制についての質問とあわせて推測すると、授業内容の理解度が今一つ浅い気がします。『でる日講義−経済・外交史(近現代)−』はもう一度見ることをお勧めします。
また、正誤問題はある程度数をこなしたり、どういう点にツッコミを入れるかの適切な解説を聴いたりすると解けるようになるかと思います。早慶大向けの問題演習講座を受講するのが手っ取り早いのではないでしょうか。

ハイレベルな問題の解答へのプロセスは、「日本史道場」でも行います。12月の道場は史料問題を多く扱います。『どこでも史料問題』を越える、Cランク史料や未見史料の問題にあたってみませんか? 恒例の「ハーフサイズ模試」もありますよ。世間一般のカンタンな模試とはひと味もふた味も違う、ハイレベルな問題で自分の実力を試してみてください。入試の厳しさが実感できますよ。

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