苗場山の話の続きです。受験にはまったく関係ありません。
2日目は山小屋で朝ご飯を食べて外に出てみると、
小雨が降っていました。
家から出かける日帰り登山だったら、
あっさり中止してしまうところですが、
ここは山頂ですからそうはいきません。
これくらいの雨なら、雨具を着て迷わず出発です。
でも、何がつまらないって、雨だと、もやがかかって、
景色が見えなくなってしまうんですよ。
まったくもってがっかりな景色です。
でもまあ昔からさんざん「雨男」と言われてましたから、
あきらめも早いです。
何度も足を滑らせながら、山を下っていきました。
もっとも楽しみもありました。
泊まる宿が「秘湯」と呼ばれる温泉宿なのです。
いくら雨と汗で身体が濡れても、これならがんばれます。
赤湯温泉の山口館というところで、
下界から登ってくるとしても、林道の終点でクルマを降りて、
アップダウンの激しい山道を2時間歩かなければたどり着けません。
肉や魚や生卵とかは、ここを歩いて運び込むしかないのです。
25年前には皇太子もここに立ち寄って入浴したとのことでした。
さて、4時間歩いて宿にたどり着くと、宿のおじいさんが、
「お風呂は3つとも屋外にあって、今日は女の人がいないから、
女湯にも入っていいよ」と言うのです。
なんとこの年齢で女湯に入るという貴重な機会に恵まれました。
なんだかそわそわしてしまい、5分であがって男湯に移りました。
こちらが男性用の赤湯です。
湯船の真横に川が流れているのです。
こんな温泉に一度は入ってみたいと思っていたので、感無量です。
露天風呂だと湯気で息苦しいってことがないのもうれしいです。
ただし、頭は雨に打たれちゃってるんですけどね。
悔しいので、雨が上がったタイミングでもう一度入りました。
客が僕一人だったので、夕飯は宿の家族の方3人と一緒でした。
そこで笑える話が聞けました。
ここは電気も来ないし、携帯の電波も届きません。
ラジオと無線だけが情報源です。
そしてこの日はちょうど高校野球の決勝の日でした。
地元新潟県は史上初の決勝戦進出で、
宿の方たちもラジオで聞いていたそうです。
ところが肝心なところで政見放送に切り替わり、
野球放送はFMに移ってしまったのです。
でもFMの電波は受信できないんです!
無関係の僕には大笑いなハプニングですが、かなり残念そうでした。
9回ツーアウトからの新潟勢の猛反撃は、
後のニュースで知ったそうです。
「新潟が負けたのは、俺らが応援できなかったからだな」
「そうだ、そうだ」
って真面目に話していて、さらに大笑いしました。
というわけで、この山小屋は基本的にランプ生活です。
暗くなるとすることがなくなってしまい、8時に寝ました。
翌朝5時にもう一度温泉に入り、朝食を食べて山をおりました。
一日に4~5時間しか歩かない、わりとラクな計画だったのですが、
3日目には相当な筋肉痛に襲われ、最後はもう苦行と化していました。
そして帰宅後、そんな痛みの中、あえて台場にくり出したのです……。
充実した3日間を過ごせました。