学校の先生のウソと史料の赤字(2)

3日前のエントリーの続きです。
前回のKさんが持ってきた史料の本は、
よくある史料文とその現代語訳が書かれている本でした。
史料文の一部が赤字になっているのですが、
開いた瞬間に、
「この赤字は覚えるところじゃないです」と即答しました。
理由は次の2つです。

(1)赤字の部分が平気で2行とか4行も続いていて覚えられない。
(2)実際に入試で空欄問題で出される所が赤字になっていない。

いや、これは実教出版の史料集だけの弱点ではありません。
山川出版の『日本史史料集』も、
第一学習社の『新日本史史料集成』も同じです。

要するに赤シートで隠してチェックすることなど、
出版社サイドは想定していないのですよ。
もちろん出題データを意識していないのは言うまでもありません。
ただ、歴史的に重要だと思われるフレーズを赤字にしているだけです。
念のため言いますが、
「歴史的に重要」=「入試でよく出る」わけではありません。

「どうすればいいんですか?」と彼女が聞いてきたので、
「史料問題集をやった方がいいです」と答えました。
実際にどこが空欄問題や下線意味で出題されるか、
体験しながら学習した方が早いからです。
でも後になって思いめぐらしたことがあります。
「どうして今まで気づかなかったんだろう?」と。
だって実際の入試問題を見れば、
あんな赤字は覚えるべきところじゃないとわかるだろうし、
そもそも、何行もある赤字なんて覚えられるわけないのに……と。

出版社側は決して騙しているわけではないと思いますが、
誤解を招きやすい赤字設定じゃないでしょうか?
まあ大学入試対策のための書籍じゃないってことなんでしょうね。
一方で「赤字や太字は覚えなきゃ」
と勘違いする受験生も、どうかと思います。
教科書もそうですが「太字=入試で頻出」ってわけではないです。
世にあまたある詐欺事件の際に、
「騙される方も悪い」と言われることがよくあります。
赤字や太字もなんだかそれに似ている気がしました。

そんな話を書いた後に自分の本を紹介するのもこそばゆいですが、
『どこでも史料問題』でしたらポイントを突いた学習ができます。
もちろん、彼女には勧めませんでしたけどね。
いくら自分の作ったものに自信を持っていても、
面と向かってセールスするのは苦手です。
場所は予備校の中ですし、押し売りする気は毛頭ありませんから。
こちらのページを見て、
その値段にふさわしい価値があると思われた方だけ、お使いください。
(パソコンからはこちらのページをごらんください)
市販の多くの史料問題集とは穴埋め箇所が違ううえに、
使い勝手も格段と違うはずです。

……あ、一応、念のため付け足しますが、
『読むだけ日本史』の赤字は出題率に合わせて設定してありますよ。

追記 第一学習社のWebサイトを見たら史料集の紹介に
   「入試対策にも万全」とありました……。
   まあ入試って言ってもいろんな大学がありますからね。

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