電子辞書派な人たち

土曜日にワセヨビに卒業生のOさんとCさんが来てくれました。
二人は予備校は別々だったのですが、
なんと早稲田で同じサークルに入り、
互いに石黒の授業を受けていたことが発覚したんだそうです。
こういう話はうれしいですねえ。
そして、お二人から早稲田ブランドのゴーフルをいただきました。

早稲田ゴーフル

どうもありがとうございます。
以前に学習院大のお菓子をいただいたことがありましたが、
最近の大学はお菓子を売ってるんですね。驚きました。
ブランドのチカラってすごいです。
いつかderutokoブランドでお菓子が出せるでしょうか……。
ありえないとは思いますが、
もし出せるなら抹茶味のお菓子にしたいですね。

さて今日は、前近代(古代~近世)についての質問を紹介します。

<Kさん>
石黒先生こんにちは。いつもお世話になってます。
夏の早慶大日本史で挫折して、成績も落ちて、授業に出るのが恥ずかしいと思いつつ、投げ出しちゃったダメな奴と思われるのも嫌で、席取りばっかり頑張ってるこの頃です。
今日は勉強の仕方をききたくてメールをさせていただきました。
先生のおっしゃる近現代デビューをされていった先輩方は、それ以前の範囲はどうやって克服されたのでしょうか?先生がおっしゃるように偏差値が上がった先輩方がいたってことはその人たちに伸びしろがあったということですよね?
近現代デビューとかそんなゴージャスな言葉は当てはまりませんが、私も後期の授業の方がとっても楽しいです。それとは逆に、今までは出来事と出来事の間を求めすぎて、素直に暗記すべきものを用語集や参考書で調べていたため、必要以上に時間と労力をかけ、自分で勝手にうんざりしていたことに今更ながら気づきました。
あ~あって、がっかりしている先生の顔が目に浮かびます。だけど、どうにかしなきゃどうしようもないので教えてください。いつまでも目覚められていなくてごめんなさい。

<石黒>
「伸びしろ」とはうまいこと言いますね。
その通りです。前近代部分の偏差値は40~50くらいだったわけです。
でも、近現代デビューしただけで、
前近代部分が上がらなかった人も多く存在します。
難関大合格には全時代通しての成績アップが必要ですから、
なんとしても前近代を克服しなければなりません。
さて厳しいことを言うようですが、
「素直に暗記すべきものを用語集や参考書で調べていた」というのは、
やはり時間のムダだったと思います。
歴史事項のポイントは授業でつかんでしまうのが一番早いのです。
その上で問題集や過去問を解いて理解を深めるべきでしょう。
用語集に書かれていることが出るとはかぎらないし、
授業後に教科書や用語集を調べる人は、
授業での聞き取りがおろそかな人が多いのです。
いわゆる‘電子辞書派’というタイプですね。
講義よりも辞書の知識を優先する人々です。
しかし実際の大学入試では、
一つ一つの単語の意味を正確に知らなくても、
「ノートのこの位置に、あの用語と並んで書いてあった」
ってことが思い出せれば、
それだけで正解できる問題がすごく多いのです。
それどころかその用語について、ある一つの意味しか知らないと、
別方向から問われた時に正解できないことがあるんです。
時期とジャンルと周辺用語を重視している人は、
「答えがイマイチわからないけど、リード文や設問文から推測すると、あの用語が問われてるんじゃないか?」
って解答を導き出せてしまえるんです。
その辺りが「言葉の意味」を重視する
英語や国語とは違うところなんです。
というわけで、
近現代デビューをした人が前近代をどう勉強したかというより、
そもそも前近代部分はどう学習すべきかを考えてください。
やるべきことはストーリーを追うことと、
ノートを覚えることの2つだけです。
近現代より単純暗記部分が多いので、
ゴロや替え歌をどんどん使って片っ端から覚えてください。
「用語の意味がわからないから……」などとうじうじしている人より、
とにかく暗記した人の方が勝ちなのが前近代です。
そういう意味では、前近代部分の方がノート復元は重要です。
そして問題集や過去問を多めに解いた方がよさそうですね。
解答する時にはただ用語を思い出すだけでなく、
その用語の周辺に何が書いてあったかまで思い出してください。
また、選択問題の時にはダミーの選択肢も見て、
それらがノートのどこに書いてあったか思い出してください。
もちろん書かれていなければ無視してかまいません。
これはKさんにとって、大きな「目覚め」のチャンスです。
健闘を祈ります。

仕方がないことだとは思いますが、‘電子辞書派’な人たちがいます。
確かに「わからない言葉は辞書を引け」と言いますし、
その習慣がついているのはすばらしいことです。
しかし、受験日本史にとって辞書(用語集)は万能ではないんです。
なぜなら上記にも書いたとおり、問われ方がさまざまだからです。
そうなると歴史用語というのは、
時期とジャンル(分野)と類似語を意識して覚えることが、
ものすごく重要だと気づくはずです。
その知識だけで推測で解けることが相当多いからです。

そして、僕の授業や映像教材を利用している方で、それが
「緻密な入試出題データにもとづいているものだ」
と信頼してくださるのなら、ぜひこう考えてください。

答えはノート・プリントにある、と。

もう10月です。回り道をしていたら第一志望には届きません。
最短コースを突っ走ってください。
ちなみに、今さらながら初歩的な確認をしますが、
用語集の数字は入試における出題頻度ではありません。
それはあくまでも「教科書」の掲載頻度です。
そんなものが入試の出題率と比例すると考えている人がいたら、
おとぎ話の世界の住人です。
教科書の太字も、言うまでもなく出題率には比例しません。