百名山で最難関といわれる幌尻岳(1)

サハリンの帰りに北海道日高山脈にある幌尻岳(ぽろしりだけ)に登ってきました。ここは「日本百名山」の中で最も難しいとされている山です。途中、川をジャブジャブ渡渉しなければならない所が20箇所近くもあるからです。水量しだいでは流されるため引き返さざるを得ません。今年はすでに大雪山では降雪があったとのことで寒さも心配でした。

今日は珍しくその登山がどんな様子だったかを紹介します。受験にはまったく関係ないのでここで閉じるか、写真だけ見て息抜きしてください。幌尻岳情報を求める登山者が検索で訪れることも意識して詳しめに書きます。また、途中グロ画像が出てくるのでご注意ください。

その日、登山口の山荘から5人が同時に出発しました。誰もが幌尻岳は初めてで、渡渉とヒグマが不安で「一緒に行こう」ということになりました。ヒグマがシカを襲ったという情報も入ってきており緊張が走っていたのです。


こんな感じで渡渉していくわけですが意外と水量は少なめでした。地元のガイドの話によれば、すでに雪渓が溶けきったためそこから流れ込む水がなくなって水量はMaxの3割程度とのことでした。うまく歩けば膝頭までしか濡れずに行けます。ツルっとやってしまえばアウトですけどね。先頭きって歩いていた僕は2度もやってしまいました。


渡渉箇所がわかりにくいという噂がありましたが、いずれも赤テープがあって苦労しません。


幌尻山荘に着きました。ここで道が二つに分かれます。右に進めば直接幌尻岳、左に進めば戸蔦別岳方面。ふつうは右の道で幌尻岳をピストンして山荘に宿泊します。山荘といっても寝具・食料はなく自炊しなければなりません(※北海道の小屋はそれが基本)。しかも生水はエキノコックス症の危険があるので煮沸しなければなりません。燃料もかなり必要です。

ところで僕はここには泊まりません。稜線直下の七つ沼カールでテント泊したいのです。そこで同行者たちと別れて左の道を進みました。以後翌朝まで誰とも会わなくなります。そして歩きだすと道を大きくふさぐものが……。

ヒグマが殺した死体です。聞いていた情報では全然ちがう場所で遭遇したため冷や汗をかかされました。地元の人たちが「日高のクマは知床のクマと違って人間を襲わないよ」と言っていたのを思い出し、心を落ち着かせました。でもそれホント??


ヤブ漕ぎが始まりました。最初は笹でしたがすぐハイマツにかわり、それが延々と延々と続きました。


道が見えません。しかもこのハイマツ、僕の背丈を超えるものもあるし、入ってくるなといわんばかりにこちらに枝先を向けてる場合も多々あります。霧雨がずっと降ってるので松の葉についた水をかぶる上に、枝が雨具に刺さってきたりします。全身びしょ濡れになりながら「ハイマツって『這い松』じゃないのかよ~」と愚痴りました。


稜線に上がって北戸蔦別岳(きたとったべつだけ)に向かうと登山道に大きな糞が(!)。これはヒグマのですね。まだ新しそうです。鳥肌が立ちました。力いっぱい笛を吹いて「人間がいるぞ」とアピールしました。


ついで戸蔦別岳をこえ、目的地の七つ沼カールに下ります。ここでもやっぱりハイマツ漕ぎ。


池塘(ちとう)好きでカール好きの僕としては最高のテント場です。今回の登山の一番の目的はここにテント泊することでした。


翌朝の七つ沼カールです。

明日に続きます。