群馬県境を歩く稜線トレイルツアー(4)

富岡製糸場と歴史博物館を回った後は、高崎駅近くのホテルに泊まって翌日の登山に備えました。

ツアー初日は朝7時半に高崎駅前に集合で、そこからバスで嬬恋村に移動しました。ツアーには地元の登山家も参加されていたので、その案内で車窓から見える赤城山や榛名山を教えていただきました。いつも単独行なのでありがたいです。『真田丸』のオープニングにも登場する岩櫃城(いわびつじょう)が間近に見えた時には、すごーく立ち寄りたくなりました。

登山口でバスを降りると地元のガイドさんたちや上毛新聞の記者さんが待ち受けていて、総勢30名ほどの大所帯になりました。名簿を見たら県庁の方々のほかに旅行会社、登山用品会社、ヤマケイなどの雑誌社……と、いわゆる業界の方が多くいて、僕のような一般参加者は4人だけでした。まさかこれほどの集団登山だとは思っていなかったので戸惑っていたら、もっと驚くことがありました。一般参加者のうちのひとりが富岡製糸場からの帰りの電車で目の前に座っていた人だったのです。大型ザックと山靴を覚えていて「あれ? もしかして……」って思って聞いたらズバリでした。いやはや同じことをしていたとは苦笑いです。このUさんとは宿も同室で寝ることになりました。

天気はすばらしい快晴です。

パルコールつま恋リゾートスキー場
登山口はスキー場なのでリフトがあります。このリフトは登山客が多い真夏には動いているため、楽ちん登山者はリフトで上がり、そこからなだらかな縦走路を楽しめます。
なだらかな縦走路

そして圧巻は山頂手前のナイフリッジです。両脇が切れ落ちて非常に細くなっているところを歩くのです。右も左も眺めは抜群です。

四阿山の山頂はこんな感じに立てます。

地元のガイドさんによれば「今年は10回くらい登ってるけど、今日が一番天気がいい」とのことでした。
雄大な浅間山とその裾野
みごとに360度全方位の山々が見渡せます。動画でもどうぞ。

動画の途中で小さな祠が見えたでしょうか。四阿山は山そのものが信仰の対象でした。信州から上州に進出した真田氏は、政治的なアピールもかねてちょうど国境にある四阿山を信仰しました。ここは修験道(しゅげんどう)の修行の場でもあったようです。ということは修験者(山伏)たちの中に、真田の忍びとして活躍した者がいたかもしれません。

山頂からしばらく下ると「嬬恋清水」という水場がありました。なんと地底湖があるんだそうで、その水が湧き出しているのです。

さらに下っていくとナゾの石組みが現れました。
ナゾの石組み
コンクリートでくっつけたわけでもないのに石の壁ができていて、しかも穴が空いているのです。この壁は左の方にも長く続いていました。

ガイドさんの案内で、石の壁沿いにヤブこぎしてみました。

最後は日が陰っていくなか、神秘的な空気さえ感じられる谷あいを下っていきました。そして日没間際にゴールの鳥居峠にたどり着きました。思いのほかメニューの豊富なトレイルで、大変楽しめました。

翌朝、僕たちの様子が新聞記事に載りました。

『上毛新聞』の若手記者さんが同行していて、少しでも「イイ絵」を撮ろうと、異常に重いカメラを手に駆け回っていたのです。僕たちが宿でまったりしている間に、彼は一目散に帰社して記事にしていたんですね。これぞ記者魂ですか。さらにびっくりしたのはこの写真にスマホをかざすと動画も見えるようになっていたことです。最近の新聞って進化してるんですねえ。