スイス時間では5時を過ぎないと明るくならないため、登りはじめは真っ暗です。ヘルメットにヘッドランプを点けて登っていきます。「下山」を言い渡されたくない僕は、何度も「GOOD!!!」をくり返し、先行する登山者を次々と追い抜いていきました。もちろん休憩はありません。そのため写真を撮る間もないのですが、陽が昇ってくるとマッターホルンの先端がオレンジに輝き荘厳に見えました。周囲は絶景で、見るたびにエネルギーがみなぎってきます。息を切らしながらもどんどん登りました。
同じ時間にヘルンリ小屋から見上げたマッターホルン。小屋で待機していた添乗員さんが撮っていました。
そうして3時間が過ぎると、腰を下ろしている登山者やガイドたちから「Congratulation!」の声が飛んできました。日本人までもなぜか英語で(笑)。そこはもう頂上でした。いろいろな感情が湧いてきて、涙がこぼれ、顔がゆがんでしまいました。
ハイリさんは慣れた手つきで、自分と僕を自撮りしてくれました。男性と抱きあったのは初めてでした(笑)。周囲360度を動画で撮影しましたが、感動で手が震えております。
マッターホルンに登れた。涙でた。頂上からの映像。予備日が2日あるので、ついでにスイス最高峰のモンテ・ローザにも登っちゃおうかと画策中。
Posted by 石黒 拡親 on 2015年7月21日
頂上から見た絶景。
その後、頂上直下で10分くらい休憩して下山しました。登りはガイドの後ろをついて行きますが、下山は逆です。後ろからハイリさんが「右!」「左!」と日本語で言ってくれるので、それに従ってルート取りして降りるのです。ガイドによってはロープを使って素早く客を降ろしてしまうこともあるようですが、ハイリさんは歩かせる方針のようでした。おかげで下山には3時間40分もかかりました。登りでエネルギーを消費してしまっており、ペースが落ちてしまったのです。
それにしてもラッキーでした。マッターホルンは天候が悪いとガイドの判断で登山自体が中止になります。それゆえ僕が参加したツアーでは、予備日が2日も設けてありました。しかし初日に快晴のなか登れてしまったのです。しかも暖かかったため雪がなく、靴にアイゼンという金具をつける必要もありませんでした。好条件がそろったおかげで、ツアー参加者7名(うち60代が3人)全員が登頂に成功しました。添乗員の話によれば、こんなことめったにないそうです。
ヘルンリ小屋から下っていくツアーメンバー。中央にわずかに尖って見えるのが、スイス最高峰の山モンテ・ローザ(標高4,634m)です。無謀なことに翌日、僕はひとりここに向かってしまいます。