エベレスト・パノラマ・トレッキング道中記(1)

エベレスト街道をタンボチェという所まで歩き、高度4000mを経験する旅が終わりました。

ツアー会社の旅行に参加するのが初めてだったため、空港の集合場所では非常に緊張しました。僕は学生のころ、全国から子どもたちを集めてキャンプをする活動をしていましたが、今ごろになってようやく「ああ、彼らはこんなふうに不安だったんだな」と実感しました。遅いですね。でも、すぐに優しく声をかけてくださるおじさんがいてホッとしました。
実際のトレッキングは、移動日や予備日を除く7日間です。参加者15人にガイド1人(ここまで日本人)、ネパール人のポーターやキッチンスタッフが16人、そしてゾッキョという家畜4頭が山行をともにします。日本人の中では一番年下だったので、これでも「若者」扱いされました。子ども会活動での「下積み」時代を思い出しました。まあそれが実に楽しかったわけですけれど。

歩く道は家畜も通る道なので、決して難しくはありません。しかしメンバーの多くは60代で歩みは非常にゆっくりです。30分ごとに休憩も入ります。そのうえ荷物の大半をゾッキョが運んでくれているので、もう実にのっそり山行なのです。ふだん僕が一人で歩くと、休憩なしのスピードハイクになるので、真逆の山行でした。「これは退屈すぎる!」と思い、いろいろ工夫をしてみました。まず、縦一列に並ぶメンバーに並行して、山の斜面や崖の縁を歩いてみたのです。これでバランス感覚を磨けないかな、と。そうすると隣の人と話しやすくなりました。また、速く歩いたり止まったりできるので、前の方の人とも後ろの方の人とも話せます。おかげでいろんな人と知り合いになれました。林野行政に詳しい人、獣医さん、国連の椅子を作った家具職人、悠々自適の会社社長、理系出身の歴女……。北海道から来た人が5人もいたので、北海道の山や食べ物、スポーツの話なども大変興味深かったです。

撮った写真は700枚を超え、iPhoneでは何本も動画も撮りました。その一部を紹介します。

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ロッジのベッド。勉強のための本が積み上がっています。新課程の日本史の教科書も入ってます。

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道ばたの露店。柱と屋根を見てください。「おいおい備前国福岡の市かよ!」ってつっこみました。鎌倉時代の話です。

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まるで馬借です。

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世界遺産のサガルマータ(エベレスト)国立公園の入園手続き所です。右は絶壁、左は川に挟まれた絶妙な場所につくってあります。お金を払わないと通れないので、まるで中世の関所ですね。

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牛とヤクの掛け合わせでできたゾッキョです。

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トイレ。うんちをしたら、枯れ葉を落とします。そうすると下に堆肥ができるという仕組みです。ちなみに右の壁は、家畜の糞を積み上げてつくられています。うんちの中でうんちをするわけですね。

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粒の小さめなジャガイモです。手前の穴に蓄えるわけですが、これ縄文・弥生時代の貯蔵穴みたいです。

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日本人16人分の寝袋(30kg)を担いでみました。いや、担ぐといっても額にひっかけてるだけなんですが。バランスを取るのが大変で、とても歩けたものではありません。

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こちらが正しい背負い方。カミ・シェルパ君は新米なので、下積み仕事をしています。

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竹の前後に商品をくくりつけて担いでいます。まるで行商人の棒手振ですね。