特攻隊員だった祖父

ワセヨビの現役向けの授業は、週140分、年間34回となっています。
このため12月21日まで授業があり、
7日の授業でようやく太平洋戦争を講義し終えました。
そこで2週間前にいただいていたメールを紹介します。
太平洋戦争に関する内容だったため、
各校舎の授業が終わるまでアップするのを待っていたのです。

<Kさん>
こんばんは!毎度毎度、夜分遅くにすみません。授業などの質問ではないのですが、藤沢の河合塾の日本史はメッセージカードがないのでメールさせて頂きました。
昨日の授業いつも以上に身が入りました。実は、私の誕生日は8月9日なんです。毎年誕生日の日には原爆のニュースがやっていて、小さい頃から自分の誕生日は原爆の日だとわかっていましたが、昨日初めて原爆について知った気がします。いままでは、ただ原爆の日だって、言葉だけを知っていただけな気がします。日本がうじうじしてたという話と、アメリカがソ連の手柄にしたくないから原爆を落としたという話を聞き、とてもショックでした。私はいつか長崎に行きたいと思っていましたが、もっとちゃんと勉強してから行かなきゃいけないと昨日知りました。昨日先生がおっしゃっていたのと同じように、私の母もよく「沖縄には旅行はいけないな」と言っていて、それは沖縄が唯一の地上戦の地だったからとはわかっていましたが、私は「旅行ぐらいいいじゃん…」と思っていました。けれど昨日初めて母の気持ちがわかった気がします。私の母の父、つまり私の祖父は、来年80歳になるのですが、特攻隊を志願していたそうです。けれど、特攻隊員として戦地に行く前に戦争が終わったそうです。この話は私が高校1年生の家庭科の宿題で課題があり、祖父から直接聞きました。「特攻隊員として戦地に行く前に戦争が終わり、正直ほっとした」と言っていたのをよく覚えています。
昨日の授業は、受験が終わってもずっとずっと忘れられない授業になったと思います。少なくとも誕生日には必ず思い出すと思います。一日たってしまいましたがどうしても伝えたくなり、メールさせて頂きました。ありがとうございました。長々と失礼しました。

<石黒>
受験に関する質問メールだと即答できるものがほとんどなんですが、
Kさんのメールのような重い内容だと、
返信メールを書くのをためらってしまいます。
きちんと腰を落ち着けないと書けない気がしてしまうのです。
そのせいで返信が遅くなってしまいました。ごめんなさい。
つい先ほどデータ入力が一段落したのでようやく書けます。

さて、長崎も広島も行くべきですよね。
僕もそう思って計画を立てたことがあるのですが、
なぜかトラブルがおきたりして行けませんでした。
心のどこかに「行っても休養にならないなあ……」
という気持ちがあるせいかもしれません。
ただ、広島・長崎については、
事前準備などにあまりこだわらずに行けばいいように思います。
無邪気な旅行者であっても、そこで学べばいいと思うんです。
広島も長崎も戦争を目のあたりに学べる町だからです。
一方、沖縄や日本が被害を与えたアジアの国の場合は、
無邪気に行くことはためらわれますね。
こちらは観光・リゾート地の性格が強いですから。
「お気楽観光」目的だけで行くとしたら、
現地の人たちにあまりにも配慮がない気がします。

そして、おじいさんが特攻隊員だったという話はびっくりしました。
特攻隊ということは確実に死ぬわけですから、
どんな気持ちで出撃命令が出るのを待っていたのかを、
伺ってみたいです。
もし、実際に特攻で戦死した方をご存じでしたら、
出撃前にどんな会話をされていたのかも知りたいものです。
もっとも戦争に否定的なことなど、
当時は口にできなかったかもしれませんが。
貴重なお話をどうもありがとうございました。

そういえば、12月8日は太平洋戦争の始まった日でした。
深い意味はありませんのであしからず。