問題のまちがえ方で、その人がわかる

●夏期講習のお知らせは、でるとこサイトをどうぞ●

5月2日に、乃木坂の国立新美術館に行きました。

国立新美術館

「大回顧展 モネ」を観に行ったのです。
連休中でも一応平日の開館時間を選んで行ったつもりでしたが、
やっぱり相当な混みようでした。
もしかして「へーえ、たまには石黒も日本史に関係ないことするんだ」
って思った人がいるかもしれませんね。
でも、モネって日本史受験で出たことあるんですよ。
選択形式でしたが、単純に空欄穴埋め問題で出ました。
10年前の関西学院大です。
だから、十分に時間がある文化史の講座では紹介してるんです。
『でる日講義−とことん文化史−』でも当然しゃべってます。
みなさん、受験日本史ってほんとに

「どこまで勉強すればいいかわからない」

って思いませんか?

モネ展

さて、先日、2003年早稲田大第一文学部(現、文学部)の問題について、
Y君から質問を受けました。
多くの人に経験してもらいたい問題なので、ここに紹介します。
まず、解いてみてください。

問 下線(後期旧石器時代)で,ヨーロッパでは発見されず,日本列島で顕著に見出される特徴は次のどれか。該当する記号をマークしなさい。
ア 土器
イ 局部磨製技術
ウ 打製技術
エ トナカイ狩猟
オ 洞窟絵画

この先に答えがあります。


正解は「イ」です。
「なんだよ、その局部磨製技術って?」って感じですよね。
Y君もこの用語を覚えるべきかどうかの質問に来たんです。
いや、覚える必要はないでしょう。
でも、僕は彼の解答を見てびっくりしてしまったんです。
Y君は「ウ」と答えていたんです。
この問題は非常に難しく、正解を確定することなんてできませんよ。
でも、消去法で考えていけば、
ある程度答えを絞り込むことはできます。
その時にまっ先に消去する選択肢が「ウ」ですよ。
だって旧石器時代の最大の特徴は「打製石器の使用」なんですから。

問題のまちがえ方にその人の学習深度は現れます。
当事者はそんなことに気づかないわけですが、
見る人が見れば、まちがえた人の内面がわかってしまうんです。
まるで心理テストですね。
彼の場合、別の観点からも弱点が推測できていたので、
よけいに危険信号がともっていることを伝えました。
そうしたところ、次のやりとりとなりました。

<Yさん>
今日、見てもらった早稲田の文の問題で、僕の弱点を先生が気に掛けていて、それがちょうど見つかった…という話ですが、授業を聞いていないから、あのようなミスをしてしまうのでしょうか?それとも単に国語力の問題でしょうか?授業中は常に全力でやってきました。授業を聞く上でポイントがずれてるのでしょうか?もし良ければ教えていただきたいです!

<石黒>
あの問題にかぎっていえば、
旧石器時代という時代区分についての説明文を
あまり読んだことがないからか、
読んだとしてもきちんと理解していなかったからでしょう。
世界の歴史とのかかわりは授業では細かくは説明していません。
それは時間がかぎられているということや、
入試本番までに何かの問題文やその解説、
または教科書や参考書などで知ればいいだろうと思っているからです。
ただし、国語力が乏しかったり、
わずかなことからその向こうに隠れていることを推測する能力が
乏しかったりすると、
いくらそうした説明を読んでも吸収できないのです。
これからは問題を解いたり、解説を読んだりする時でも、
その内容を理解する努力をすべきでしょう。
国語でも英語でも単に字面を追っているだけだったら、
非常に虚しい学習になると思います。
せっかく読むならきちんと理解すべきでしょう。
書いてあることがどういう意味なのかを
自分のモノにしていってください。