東大を狙いたいのですが

4月頃、通年授業を受講していない方で、
東大を狙っている現役生Sさんから、
早慶上智などの私大との併願についての相談メールが来ました。
僕からは次のように返信したのです。

<石黒>
東大の日本史のための勉強と、早慶上智大のための日本史の勉強は、
かなり異なっているため、かなりできる生徒でないと、
両方の対策をしていくことは、非常に難しいです。
そういう意味では、浪人する覚悟があるなら、
センター試験と東大のための勉強に専念した方が近道です。
それでも早慶上智向けの日本史対策をしたいというなら、
今現在、そのための方法をブログのトップに出しているので、
そちらをごらんください。

そうしたら返信が来まして……。


<Sさん>
やはり早慶対策と東大対策の並行は大変なのですね。
河合のチューターには、「東大は論述なので、それが出来れば早慶も必然的に解けるようになる」などと言われてしまったので、危うく信じる所でした(笑)
でも、折角受ける以上、後悔はしたくないですし、ライバル達に負けたくはありません。
なので、まずは出来る限り先生のおっしゃった対策をこなしてみたいと思います。
それが無理そうだと感じた時に、東大一本にするか、東大を諦めて確実に早慶の合格を狙うか、
考え直してみることにします。

私立の中では、
・慶應義塾大学 法学部 法律学科
・上智大学 法学部 法律学科
・中央大学 法学部 法律学科
・早稲田大学 政治経済学部 政治学科
・早稲田大学 法学部
(五十音順)
あたりの大学に合格を頂けたら、喜んで入学したいと考えています。
上記大学の中でしたら、中央はMARCHですので、
やはり日本史の対策は練りやすいのでしょうか。
下手に早慶や上智に手を広げるよりも、私立はとりあえず中央を中心に対策を練り、
確実に中央の合格を頂けるようにするほうが無難なのでしょうか。

何だかある意味、併願の方が第一志望よりも色々な意味で手強いです。
センターに失敗しても私立の合格は拾いたいですし、
そもそも早慶やら中央の法やらのセンター利用はかなりレベルが高いようですね。
本当にそんな高レベルな大学を私なんかが併願していいものか甚だ疑問ですが、
やはり今は一番東大に行きたいので、先生に頂いたアドバイスを踏まえながら、
とにかく頑張ってみます。

<石黒>
> 河合のチューターには、「東大は論述なので、それが出来れば早慶も
チューターといっても、受験の専門家ではないので、そんなものです。

> 上記大学の中でしたら、中央はMARCHですので、
> やはり日本史の対策は練りやすいのでしょうか。
まあ、早稲田のための勉強をしていれば、中央は大丈夫です。
史料・年代・漢字が多いという特徴に注意してください。
ただひとつ、中央法学部は正誤問題が特殊なので、
そこだけは過去問を3年分くらいやってください。

> 確実に中央の合格を頂けるようにするほうが無難なのでしょうか。
早慶上智クラスにどれくらい受かりたいかで変わります。
「浪人は絶対したくない」と言うなら、
滑り止め大学を確実に合格できるようにする必要があるでしょう。
東大に始まって、早慶上智に中央などという、
そんな多くの大学の対策など、普通の人はできません。
全体的に手を広げすぎな気がします。
これらの大学を総なめできる人はごくまれに存在しますが、
彼らに共通する特徴は、
「英語がずば抜けてできる」ところです。
県内有数の進学校で英語は常に学年トップとかって感じです。
Sさんはその点いかがでしょうか?

その後、Sさんは、河合塾で夏期講習を受講することになったそうで、
再びメールが来ました。

<Sさん>
早慶大日本史の受講にあたり、相談があります。
多分、レギュラーで普段から先生の授業を取って頑張っている
生徒さんが多い講座だと思いますが、
受講までに達するべきレベルは、どの位なのでしょうか。
河合のマーク模試などは誰でも出来るように出来ているので、
別にそれで点数が取れていようと、
早慶志望者内では当たり前のレベルですよね。
今は一応、東大日本史のテキストをすべて覚えるのに並行して、
学校で使用している山川の新日本史を参考にしながら、
××中継を覚えるという、インプット中心の勉強をしています。
一応、今のペースだと六月に近現代まで一周はできそうなので、
そこからアウトプットもしていくつもりです。
東大日本史では、やはり基本事項の習得が中心になってしまうので、
早慶大レベルの対策には不安を残しています。
お忙しいと思いますが、アドバイス頂ければ幸いです。
夏期講習、死んでも授業に着いていくので、よろしくお願いします!

<石黒>
> 受講までに達するべきレベルは、どの位なのでしょうか。
かなり高いレベルだと思います。
ただし、高卒生中心の早稲田予備校ではなく、
現役生ばかりの河合塾の講座なので、
受講生自体はそれほどハイレベルではないと思います。

> 河合のマーク模試などは誰でも出来るように出来ているので、
正直、河合の模試は、マーク模試も、全統記述も、簡単すぎて、
早慶クラスの合格判定には使えません。
大学名を冠した模試は大変参考になりますが。
というわけで、マーク模試はセンター対策模試にすぎません。

> ××中継を覚えるという、インプット中心の勉強をしています
悪くはないですが、
この参考書は、私大の出題率に沿ったものではありません。
赤字だからといって頻出用語とはかぎりませんし、
逆に、覚えるべき用語が書かれていないことも多々あるようです。
ご注意ください。

> 一応、今のペースだと六月に近現代まで一周はできそうなので
ここが一番不安になったところです。
6月までに1周できるということは、Sさんがものすごく頭がいいか、
相当浅くしかやっていないかのどちらかです。
東大はともかく、早慶の赤本を解いてみることをオススメします。
既習済みの範囲から出題されている大問を1つ解いてみて、
正解率が8割に達していなかったら、
学習深度が浅かったと判断してください。

たぶん、夏期講習を受講すると、次のことがわかってしまうと思います。
1 早慶大合格に必要な知識量は膨大だ。
2 出題されるところだけに的を絞った参考書はめったにない。
3 データ分析をしている人は効率よく高得点が獲れる。
4 膨大な量の情報を頭に残すためには、相当な工夫が必要だ。
5 日本史が8割を切る場合は、英語がすごくできなきゃいけない。

受験というものを冷静にとらえ、
かつ、自分を客観的に見つめることが大切です。