11日のエントリーについて、I先生から「阪神大震災の時はどうだったのですか?」という質問をいただきました。なんでも阪神大震災の翌年の入試では、現代文や小論文などで震災関係の問題が出されていたそうです。
日本史では1996年にかぎって関東大震災がよく出たというデータはありません。こうした時事問題にかぎらず、100周年とか200周年という理由で「これが出るよ!」って言う先生が多いようですが、毎年出題データを取っている当方としてはちょっと鼻白みます。講師同士の会話でも「来年は○○が出るよね?」って振られることがあるのですが、そういう時はいつも笑ってごまかすのです。
出題データを持っていない先生は、どうしても時事問題とか何周年とかを口実に出題を予想せざるを得ないのではないでしょうか。世間一般で想像されている入試情報と、実際の入試とはズレていることは往々にしてあるのです。
それとちょっと似た話を紹介します。今年、ワセヨビの高卒生のE君は早稲田大学6学部全てに合格しました。彼はちょっと変わったいきさつで僕の授業を受けてくれていた人でした。まず高3の時に、某大手予備校で日本史の授業を受けたものの幻滅して辞めました。その後夏頃にネットで僕の存在を知り、近くの河合塾で通年授業を取ろうとしたものの、締め切っていたためはるばる町田校まで通ったのです。しかし残念な結果に終わり、今度はワセヨビで高卒生として通年授業を受講し、ついに最高の結果を手に入れたわけです。
さて、その彼が先日ワセヨビに来た時の会話です。
石黒「幻滅した先生って誰?」
E君「○○先生です」
別の先生「その予備校なら△△先生だったら良かったのに」
E君「左寄りの話ばっかりする人ですよね?」(←バッサリ言っちゃってます)
石黒「まああそこは学術色が強いからねえ」
別の先生「じゃあ◇◇先生だったら入試に強いよ」(←そんなことありません)
E君・石黒「……」
いや、その◇◇先生も入試に出ないことバンバン教えちゃう先生なんですよ。なぜ知ってるかというと、その授業を受講した生徒から何回かテキスト・プリントを見せられて話を聞いたからです。早大対策講座で「××は早稲田では出ない!」って言っていて出ちゃったなんていう、笑えない話もあります。それにしても上記の会話から気づくものがありますよね? 一般に「入試に精通している講師」と思われている講師が、実はそうでもないってことです。なにしろ同じ業種の講師であっても見破れないのです。本当に出題情報を持っている人でなければ、気づかれずにすむのです。
ちなみにこのE君は、ものすごい量の過去問を解き、違う年・違う学部の問題であっても相違点を見つけて、それらをいくつも教えてくれました。久々に見た入試オタクです。たぶん彼なら◇◇先生のハッタリも見破れるでしょう。
というわけで、難関大で高得点を狙う人たちには「ヤマを張る」なんてことはせず、真実の出題データにもとづいてまんべんなく受験日本史に取り組んでください。特定のテーマを語る国語や小論と、幅広く出題せざるを得ない日本史では事情が違うかと思います。そして時事問題については、ちゃんと1月に対策プリントを用意しますので、そちらをどうぞ。思わぬテーマが時事ネタになっていたりしますから。