ポイントをハズすと役に立たないこと(1)

よく授業でもこのブログでも、
「ポイントを正しくつかもう!」と呼びかけています。
これがどういうことなのかを今日から2回にわたって、
具体的にお話しします。

先日、ワセヨビでこんな質問を受けました。
「本能寺が何宗かって覚えた方がいいんですか?」
これは難しい話ですね。
僕も驚いて出題校を聞いたのです。
実際の問題をお見せします。

2006年学習院大経済学部
明智光秀に攻められたとき信長が滞在していた寺院は,京都町衆に影響力の強かったある宗派に属している。この宗派の寺院は京都市中の要所に構えられ,市街を防衛する一種の城塞としての機能を果たしていたから信長の滞在場所ともなったのである。この宗派の名称を記しなさい。

選択問題じゃないので、よりキビシイわけですが、
宗派を答えるだけなので、彼自身は、
「偶然当たりました」と言っていました。
国名とかを書かせる問題でもそういうことってありますよね?

……で、この問題、ほんとに難しいですか?
いやいや、全然カンタン問題ですよ。
本能寺ってのはフェイントにすぎません。
問題を解く‘ポイント’は、
「この宗派の寺院は京都市中の要所に構えられ」です。
京都の町衆には日蓮宗(法華宗)の信者が多かったですよね?
しかも、法華一揆を結んで他宗と対立していたじゃありませんか。
そうすると「市街を防衛する一種の城塞」という部分も、
作問者が提示してくれているヒントに見えてきます。
というわけで答えは日蓮宗(法華宗)とわかるのです。

こういう問題は自信を持って正解できているわけではありません。
なので、謙虚な合格者は「カンで正解できた」というのですが、
けっして100%カンで解いているわけじゃないんですよ。
単純暗記派で考えの浅い人や、
アンテナを四方に伸ばして解く習慣のない人は要注意です。