ポイントをつかむことの難しさ

代ゼミの早大プレを受験した二人から、同じ質問がありました。
「西洋文明の移植による急速な近代化 」に関する正誤問題です。

<Tさん>
誤っているものはどれか。
ウ 西洋の着用が次第に広まり、明治末までに日常生活での洋装が一般化した。
オ 1872年、東京・横浜間にイギリスの技術を導入して鉄道が敷設された。
僕は オ 東京じゃなくて新橋と思い、自信満々に選んだのですが、解説を読んでいると正解は ウ になっていました。 新橋は東京の中であると考え、ウ は明らかな間違いとして考えるのでしょうか?

<石黒>
残念ながら、「東京の新橋」なので、
東京・横浜間と書くことはあるのですよ。
山川の教科書もそうなっています。
洋服の着用の時期については盲点ですね。
あまり出ないのですが、
逆にセンター試験とかで出されるかもしれません。
解説はたぶんありましたよね? それを読んでください。

T君は「新橋・横浜間に鉄道開通」と覚えていて、
「東京・横浜間じゃない!」と即答してしまったわけですね。
正誤問題では、こういうところにも慎重になる必要があります。
誤解なきように付け加えると、教科書はやらなくてもいいのですが、
頭を柔軟にしないと正誤判別は見破れないということです。

もう一つ、早稲田政経をめざす人からの質問を紹介します。

<Nさん>
2002、2001の早稲田政経で中江藤樹の『翁問答』がでてました。自分が受ける学部で出てきた新たな単語又は正誤問題等の新たな説明で、これを知らなきゃこの問題解けないよ。ってやつは全部拾っといたほうがいいですか?

例えば、穴太衆 2003 早
浜田 彦蔵 2003 早
明治政府はスペイン、ポルトガルをなめていたので、岩倉遣外使節団で行ってないなどなど。

<石黒>
『翁問答』の問題は
どちらもその用語を知っている必要のない問題です。
もしかしてそれを知らないと解けないと勘違いしていないでしょうか?
そして、新たな単語は拾うにこしたことはないですが、
一方で満点を取る必要もないのです。
ただし、早稲田が好むことがわかっているテーマは拾うべきです。
岩倉使節団がそうですね。
ただし、スペイン・ポルトガルに行っていないということを覚えても、
意味はありません。そのことはわかっているでしょうか?
ポイントは去年の冬の早慶難関で話しましたが、
もちろん今年も話します。

世間一般では、難問を解くためのポイントに気づかず、
ただ丸暗記する人が多いです。
しかし、それではこれから現れる問題に役立ちません。
「何を覚える必要があるのか」、
言いかえると「正解に至るプロセス」ってヤツは、
何も考えずに日本史を勉強してるだけの人には見つけにくいのです。
結論としては、ノート覚えが完璧なら別ですが、
そうでなければ全部拾っている余裕はないでしょう。
一方で、パッと見では解けないように見えても、
実は解ける問題も多いのです。