講師室に質問に来る生徒の数は校舎によってまちまちです。
木曜日は藤沢の通年授業の最終講でしたが、
質問がなかったのですぐ帰ってしまいました。
そうしたら……
<Kさん>
まずは4月から今日までレギュラー授業でお世話になりました。と言っても、冬期と直前講習を受講するので、またよろしくお願いします。夏期講習と違って冬期は最後のタームにあるので、その時に「忘れてた!」なんて事にならないよう、有意義に1ヶ月を送ろうと思います。ところで、今日授業後に赤本の質問に行こうと思ったのですが、チュートリアルが長引いてしまい、講師室に行ったのですがいらっしゃらなかったので、メールで質問させてください。2つあります。1つ目は明治大学文学部の2006年の〔III〕の設問2についてです。
下線部(イ)の「囲穀」を保管するための村々の倉庫をなんと称するか。その名称を記せ。
設問の前に資料A(囲い米について)が提示されてあります。解答は「社倉・義倉」でした。このような言い回しの問題の場合、2つの名称を書かなければ正解にならないのでしょうか?ただ「村々の倉庫」と書いてあるだけなので、確かに社倉も義倉も当てはまるのかもしれないのですが、2つとも解答するという考えが浮かばなかったので、私は「義倉」だけ解答しました。
2つ目は中央大学商学部会計・商業・貿易学科の2007年のII問3からです。
幕府は,はじめはキリスト教の布教を黙認していたが,キリスト教徒が急増すると,幕府領に禁教令を発し,さらにそれを全国に広げて信者に改宗を強制した。日本人の[c海外渡航についても制限を強化]し,1635(寛永12)年には日本人の海外渡航と帰国を禁じた。…
問3 下線部cについて,それまでの朱印状に加えて必要になった別の許可状の名称を記しなさい。
私は「奉書」と答えたのですが、解答は「老中奉書」となっていました。ただの「奉書」でも正解でしょうか?以上の質問について教えて下さい。よろしくお願いします。最後に少し余談ですが、上の中央の次の問題に島原の乱で天草四郎が立てこもった場所を答えるものがあったのですが、「場所と言えば原城だ!」と「原城」と書いたのですが、答えは「原城跡」となっていて、一筋縄ではいかないなぁと思いました。というよりも私の注意力が足りないだけなのかもしれないのですが。
<石黒>
授業後は質問がなく、なんだか今日は静かだな……と思いながら、
さっさと帰ってしまいました。失礼しました。
質問に答えます。
まず明治大の問題ですが、これはたぶん社倉でも義倉でも正解です。
詳細は明かせませんが、
この大学は別解をきちんと意識しているので大丈夫なのです。
もっともこうした2つの用語を答えさせる問題は、
空欄補充でない場合にはあり得ます。
つぎに中央大の問題ですが、これは赤本の解答を作った人が、
山川出版の教科書しか見ずに解答しているのでしょう。
たとえば、山川出版と東京書籍の教科書は、
たしかに「原城跡」と書いているんですが、
三省堂や実教出版の教科書、辞典などでは「原城」と書いています。
安心して「原城」と答えてください。
「奉書」も同じくです。
山川出版と実教出版は「老中奉書」と書いているようです。
こういう問題集は別解を書くべきですが、執筆者の能力が低かったり、
気を回す余裕がなかったりすると読者が困ってしまいます。
問題集の良し悪しはこうしたところからも判断できるのです。
買う側の受験生にはわかるはずもありませんが。
問題集に良し悪しがあるという意味が、
少しはわかっていただけたかと思います。
そして、藤沢のみなさんには失礼しました。
チュートリアルが行われていることに気づかず帰ってしまいました。
1月の講習まで猛勉しておいてください。