大隈重信の後の大蔵卿は誰?

冬期講習が始まりました。
これで1月6日までマラソンの気分です。
電車移動付きの520分授業の日が6日あるのが地獄ですね。

そして『MARCH学習院あるあるチェック』と
『上智対策コンプリート・ミッション』の教材作成は、
ギリギリ間に合いました。
『上智CM』の方も、最初に想定していたものより、
かなり大がかりなものになりました。
A5判180ページくらいになりそうなのです。
後は編集・校正など細々とした作業が、
スタッフの手で行われていく手はずです。

さて、ちょうどその講習で扱う内容の質問がありました。

<Kさん>
こんにちは。普段石黒先生の授業はうけてないのですが、河合塾で直前の早慶大テストをうけさせてもらうことになりました。よろしくお願いします。ところで質問なんですが、『○○の一問一答』に「大隈重信のあとをついで1881年、松方正義が大蔵卿に就任」と書いてあるのですが、僕は「あれ?大隈じゃなくて佐野常民じゃなかったっけ?」と思い、石黒先生の『本当にほしかった』を見てみるとやっぱり佐野常民と書いてありました。さらに僕が行っている○ゼミのテキストにも佐野常民となっていました。まだ確信がもてなかったので教科書を見たみたら、「大蔵卿大隈重信が中心となって酒造税などを増徴し官営工場を払い下げる方針を決めるなど、財政・紙幣整理に着手した。翌年、松方正義が大蔵卿に就任すると・・・」と書いてあり、佐野常民については全く触れていませんでした。どちらが正しいのでしょうか?また、工場払い下げ概則、酒造税増税などは○ゼミのテキストでは佐野常民のところに書いてありました。これはこれであっているのでしょうか?

<石黒>
「大隈重信のあとをついで1881年、松方正義が大蔵卿に就任」は、
間違ってますよ。大隈→佐野→松方です。
1880年の工場払下げ概則も佐野が大蔵卿の時に制定されました。
ただし教科書の文章は間違っていません。
よく読めばわかるとおり、決して、
大隈に続いて松方が大蔵卿に就任したとは書いていないからです。
また、工場払下げ概則を大隈が制定したとも書いていません。
あくまでも払下げの方針を決めただけです。
歴史事実は一つでも、
それをどう書くかはさまざまあるというのはわかりますよね?
中学の歴史教科書なんてもっとアバウトに書いてますから。
だから、受験生にとって一番重要なのは、
入試ではどう出るかじゃありませんか?
そこで一例を紹介しましょう。次の文の正誤を判別してください。
1995年の早稲田大商学部の正誤問題です。
「1880年に大隈重信に代わって大蔵卿となった
 薩摩出身の松方正義は、強力なデフレ政策を推進し、
 官営事業の払い下げにも手をつけた。」
もちろん誤りです。
もう一つ問題を紹介します。1996年明治大法学部の選択問題です。
空欄に適語を入れてください。
「(  )の後をうけて1881(明治14)年に大蔵卿に就任した松方正義は、
 思い切った紙幣整理に着手した。」
選択肢に大隈重信はありません。もちろん正解は佐野常民です。
ちなみに『○○の一問一答』の初版(1993年)が手元にありますが、
「(  )のあとをついで(  )年、松方正義が大蔵卿になった。
 答え 大隈重信・1881」
と書いてあります。まさか、その後改訂されていないのでしょうか?
とにかく上記の通り、95年や96年の出題はこうなっています。
また、その後も早稲田では、
「佐野常民」の名前を書かせる問題を出しています。
本当に役立つ教材を利用されることを願います。

●管理人より●
本日、冬休みのお勧めブログエントリーをアップいたしました。