2014年早稲田大社会科学部の質問

今日はなかなか難しい問題です。早慶上智を受験する人は次の問題を解いてみてください。

 ……日本も唐にならって律令制を採用し,国防,治安維持に関する制度を作り上げた。地方の国(編注:ここに下線)には軍団を置き,軍団兵士の中から衛士を選抜して,1年間中央に送った。……

問1 下線部(編注:地方の国)に関連する説明として,不適切なものはどれか。2つ選べ。
イ 国司の任期は6年(のち4年)であった。
ロ 国の下に郡があり,郡司は終身官であった。
ハ 郡司は租税の取り立てを担当した。
ニ 郡の下に里があり,里長は裁判などを担当した。
ホ 大和・山城・摂津・河内・和泉は,五畿内と呼ばれた。

この問題について質問をいただきました。

<Mさん>
夜分遅く失礼します。いつもお世話になっております。毎朝、出るとこブログを見て自分の気を引き締めてから始まる、そんな直前期です。
今回連絡させていただきましたのは、2014年早稲田社会科学部の問題で質問があり先生のご意見を伺いたかったためです。2点あります。
2014早稲田社会科学部大問1の問1(中略)という設問です。
①イとロは基礎事項かと思うので自明として、ニとハに関しては出題頻度の観点からすると覚えるべきか否か。
②実はリード文中に「7世紀初め〜」と記載されており、僕は山城の城の字がこの時はまだ背であると推測し、ホを跳ねたのですがどのように反省すべきかまた、僕が危惧したような山城と山背で設問中で引っ掛けてくることはあったのか。ということを伺いたいです。
お時間ある際、お返事していただければ幸いです。

<石黒>
これは悩む問題でしたね。ただ、先日のブログにも書いたとおり、「下線部に関連する」となっている場合は必ずしもリード文の条件に合致している必要はないのです。このため「山城」を「山背」とつっこむのはやりすぎでした。
いっぽう「ハ」は僕もいったんは正文と判断しましたが、三省堂の教科書に「郡司は終身官で民政や裁判を担当、里長は税の徴収がおもな職務。」という記述があったため、これをもとに作問したことが判明し、正解をハ・ニとしました。
これは正解できなくても致し方ないかもしれません。

早稲田大では平安京遷都の際に「山背国」を「山城国」と改めたことがよく出題されます。それを考えると「ホ」って解答してしまいそうなところがイジワルですね。どうにもしょうがない問題でした。

でる日講義-経済・外交史(前近代)-