領事裁判権のおもわぬ盲点

先日、史料をよく勉強している方から質問をいただきました。流し読みせず、よく読んでみてください。

<Yさん>
日米修好通商条約の6条目の領事裁判権の文章で『亜墨利加人へ対し、法を犯したる日本人は、日本役人糺の上、日本の法度を以て罰すへし。』で日本の法で日本人が裁くと解釈できるので、どこが日本人にとって不平等なのかわかりません。

※編注:日米修好通商条約 第六条
 日本人に対し、法を犯せる亜墨利加人は、亜墨利加コンシユル裁断所にて吟味の上、亜墨利加の法度を以て罰すへし。亜墨利加人へ対し、法を犯したる日本人は、日本役人糺の上、日本の法度を以て罰すへし。

<石黒>
よくそこを読解しましたね。その点は日本に不利ではありません。不利なのはその手前にある「日本人に対し、法を犯せる亜墨利加人は、亜墨利加コンシユル裁断所にて吟味の上、亜墨利加の法度を以て罰すへし。」という部分です。これは来日しているアメリカ人が犯した犯罪を、日本の法律では裁けないことを意味します。これが日本に不利だということはわかりますよね? あえて言うと、日本人がアメリカで犯罪を犯したらアメリカの法律で裁かれます。
そしてYさんが指摘した部分は通年授業ではあえて触れませんでした。一度にそこまで説明するとついてこられない人が多いからです。それゆ冬期講習で説明します。

ちなみにこうした点も『どこでも史料問題』ではわかるようになっています。付属の音声CDの中で説明しているのです。十分味わいつくしてください。

どこでも史料問題

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