受験に役立つ脳科学(3)

世間では大学入試の日本史は、暗記科目だととらえている人が大勢います。大河ドラマなどを見ている分には、暗記モノとは感じていないはずなのに、受験日本史となると違ってしまうようです。

たしかに暗記部分もあるのですが、因果関係やつながり、繰り返しなどを意識して理解すべき部分もかなり大きいのです。というより、そういう理解をしながらでなければ、到底覚えられません。受験日本史で必要とされる情報量は膨大なのです。

しかも、単純暗記が得意だった小学生時代は、とうの昔に終わっているのです。別の方法をとらなければ、記憶できないのですよ。よく授業で「日能研時代は終わったんだから、丸暗記しようなんて幻想は抱かないでください!」と言うのですが、脳科学でも高校生くらいが、丸暗記よりも理論だった経験記憶が発達する時期にあたると言います。ものごとをよく理解してその理屈を覚えていくべきなのです。

実際、丸暗記なんてレベルが低いと思いませんか?

さて、海馬の研究をされている池谷裕二先生の『最新脳科学が教える 高校生の勉強法』では、効果的な復習プランも示されていました。前回紹介した「短期記憶」を「長期記憶」に移すためには、どういうインターバルで復習するのが良いか、です。

1回目の復習=学習した翌日
2回目の復習=1回目の1週間後
3回目の復習=2回目の2週間後
4回目の復習=3回目の1か月後

とのことです。

まず肝心なのは、授業内容が短期記憶にのこっているうちに、つまり翌日までに1回目の復習をすることが何よりも大切です。児玉光雄先生の『上達の技術 一直線にうまくなるための極意』には、おもしろい実験結果が紹介されていました。

100年以上前にドイツの心理学者ヘルマン・エビングハウスが実験したところ、記憶の47%が2日後に、75%が6日後に、そして79%が1カ月後には失われたそうなのです。児玉先生の実験でも、まったくおさらいをしなかった人は2日後には86%も忘れてしまったそうです。それに対し、10分後、6時間後、24時間後にきっちり復習した人は、忘却率がわずか7%にとどまったとのことでした。すぐ復習することの大切さがよくわかりますね。

というわけで、基本的に3回は復習する必要があるようです。(1)学習直後、(2)ちょっと間をあけた後、(3)長く間をあけた後の3回です。無理に復習の頻度を過密にしても、あまり効果は変わらないそうです。今度いつ復習するかを手帳にメモしておかないといけませんね。本気で集中して復習したら、後は寝かせておき、その間に問題演習に励むのが良いでしょう。アウトプットすることは記憶の定着に不可欠です。

ちなみに覚えるモトとなるもの(通年授業の受講生は40面ノートです)は、1つに絞り込んでください。いろんなまとめを使ってしまうと、記憶がほかの記憶に影響を与えてしまう「記憶の干渉」が起こり、逆に思い出しにくくなるからです。受験情報として信頼できる「まとめ」を1つ、ひたすら覚え込むのがベストです。

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