受験に役立つ脳科学(2)

『リング』・『らせん』で有名な鈴木光司という人が、『なぜ勉強するのか?』という本のなかで興味深いことを書いていました。

将来、有効となる能力とは、「理解力」「想像力」「表現力」の三つです。数学や外国語、歴史、理科など、さまざまなジャンル、要するに別角度からのアプローチを経て、この三つの力を養うのが勉強の本質なのです。
人生におけるほとんどの仕事は、この能力によってなされます。あるいは、子どもが成長して、大きな困難にぶつかったとしても、この能力が養われていれば、上手に克服することができます。

たしかにその3つに集約できるように思います。「理解力」をとってみても、今の時代は変化のスピードが速いので、社会に出てからも理解するのが遅いと、仕事にならないのです。だから、会社で「仕事がもらえない人」が生まれているんだそうです。上司から「オマエに仕事教えるくらいなら、自分でやった方が早い」って思われちゃってる人です。ちょっと怖いですね。

僕の通年授業では、理解する速さも求めます。集中力をもって授業を聴いてほしいものです。のめり込むほどに聴けば、おのずと「想像力」も使うことになるはずです。先日の「受験に役立つ脳科学(1)」にもあった通り、想像することは「海馬(かいば)」を大いに刺激するのですから、記憶が定着しやすくなるのですよ。

「海馬って何?」という疑問も湧くでしょうね。これは脳の中にある場所で、短期記憶した情報を、長期記憶に移すかどうかを仕分けするところです。ここを通過してもらわないと、2月の入試本番にいきてくれないのです。

池谷裕二先生の『最新脳科学が教える 高校生の勉強法』によれば、長期記憶に移す判定基準は「生きていくために不可欠かどうか」だそうです。受験勉強の内容が「生きていくために必要」とはとても思えないでしょうが、そこは「海馬をダマすしかない」そうです。ちょっと笑えますが、どうしても第一志望の大学に行きたいと思っている人にとっては、それほど突飛な話じゃないかもしれませんね。

池谷先生はその後にこう続けています。

海馬に必要だと認めてもらうには、できるだけ情熱を込めて、ひたすら誠実に何度も何度も繰り返し繰り返し、情報を送り続けるしかない。人間の脳は、できるだけ早く多くのことを忘れるように設計されているのだから、覚え直すほかない。

忘れても忘れてもくじけることなく、がんばって暗記をくり返しましょう。もちろん「想像」しながらね。

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