大学によって正誤問題の「誤文レベル」に大きなばらつきがあるのを知っていますか? ワセヨビではそれをつかむためもあって、直前講習の「でるとこ日本史コンプリート」という講座の中で、正誤問題ばかりを大問32題も解いてもらいました。この講座では、沖縄・北海道史・地図・グラフ問題まで扱っていたので、テキスト全体のページ数は180ページを超すほどでした。
「誤文レベル」というのは僕の造語ですが、誤っている箇所の細かさというか、難しさを意味しているつもりです。誤りだと見抜くのが難しい選択肢を「誤文レベルが高い」と表現するのです。今日は、その誤文レベルが高い正誤問題を紹介します。
<Hさん>
こんばんは。河合塾藤沢でお世話になっています、Hです。國學院大学の入試を受けたのですが、1つわからない問題があったので質問させてください。問いは『吾妻鏡』の‘尼将軍の呼びかけ’の史料の冒頭「二品」に下線が引いてあり、この人物に関する説明として正しいものを選ぶ問題でした。選択肢は、
ア 公家出身の法律家で、問注所の初代執事となった。
イ 3代将軍の死後も、将軍独裁体制の維持に尽力した。
ウ 息子が暗殺されたことにより出家し、「尼将軍」と呼ばれた。
エ 父は、比企能員の乱後に幕府の初代執権となった人物である。
で、「二品」が北条政子のことなのはわかり、アは三善康信のことなのですぐ消去できたのですが、イ・ウ・エ3つの選択肢を判別しきれませんでした。この問題はどう解くべきだったでしょうか?お忙しいところ申し訳ありませんが、よろしくお願いします。
<石黒>
イウエで、誤りの可能性がある部分を考えてください。イは、一般的には北条政子が死ぬまでを将軍独裁政治の段階ととらえますが、厳密には誤文と考えることもできます。将軍といっても九条頼経ですし、そもそも正式には就任していません。次にウは出家時期が誤りの可能性があります。それに対してエは誤りと言える部分がほとんどありません。イを正文とみなす見方もあると思いますが、どちらかといえばエを正解にしていると思います。
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