通年授業を受講している方にお知らせです。
37番ページのハル=ノートのところで、
「できれば史料を見ておきたいです」と言いましたが、
多くの市販の史料集には、それが掲載されていませんでした。
載っていないことを忘れていました。すみません。
というわけで、ここに載せます。
「日米交渉11月26日 米側提案」(1941年11月26日)
第二項 合衆国政府及日本国政府の採るべき措置
二 当国政府は、米、英、支、日、蘭及タイ政府間に各国政府が仏領印度支那の領土主権を尊重し且つ印度支那の領土保全に対する脅威発生するが如き場合、斯る脅威に対処するに必要且つ適当なりと看做さるべき措置を講ずるの目的を以て即時協議する旨誓約すべき協定の締結に努むべし(中略)
三 日本国政府は支那及印度支那より一切の陸、海、空軍兵力及警察力を撤収すべし
四 合衆国政府及日本国政府は臨時に首都を重慶に置ける中華民国国民政府以外の支那に於ける如何なる政府若くは政権をも軍事的、経済的に支持せざるべし
五 両国政府は外国租界及居留地内及之に関連せる諸権益竝に一九〇一年の団匪事件議定書に依る諸権利をも含む支那に在る一切の治外法権を抛棄すべし……
九 両国政府は其の何れかの一方が第三国と締結しおる如何なる協定も、同国に依り本協定の根本目的即ち太平洋地域全般の平和確立及保持に矛盾するが如く解釈せられざるべきことを同意すべし
カタカナ表記を読みやすいようにひらがなにしています。
この史料問題が早稲田大や中央大で出題されていますが、
何よりも心配なのは、史料そのものではなく、
ハル=ノートの内容の正誤問題です。
そこで、いっそのこと史料文を読んでしまおうというわけです。
実は、これにかぎらず史料文を読むと、
「そうだったのか!」とうなずかされることはよくあります。
早・慶・上智・明治を考えている人は、
史料学習を通じてそんな特典も得てくださいね。
さて、金曜日の朝、大和書房の編集のHさんが、
直接自宅まで新刊を持ってきてくださいました。
僕の書いた本の中では、文庫本サイズは初めてです。
それゆえカタチが実に新鮮で、
しかも中の細かいデザインも結構きれいなんです。
市販本の自著の中では一番お気に入り本になりました。
ぜひ、書店でお手にとってみてください。
『2時間でおさらいできる日本史』(だいわ文庫)です。