『聴くだけ日本史』物語(1)

『聴くだけ日本史−美術史編−』のウェブページを、
本日公開しました!
こちらからどうぞ。

リニューアルを記念して、
この教材を作るにいたったお話しをしたいと思います。

derutoko.com の自費出版は、
『聴くだけ日本史−文化史編−』から始まりました。
なぜリスクのある自費出版をする気になったかというと、
これがCD媒体の音声教材だったので、
ふつうの出版社ではとうてい通らない企画だったからです。
でも、文化史の問題には、
各作品の成立時期がわかるとたちまち解けてしまう問題があるんです。
この事実は、そういう解き方をした人にしかわからないところが、
ポイントです。

僕自身がどうして時期を意識するようになったかというと……、
文化史用語のデータ入力をする過程で、
半ば強制的に時期を覚えこまされたからです。
当時は何百ページもあるルーズリーフにデータを記入していたため、
時期がわからないとすぐに書き込む場所が見つけられないのです。
パソコンでデータ整理をするようになっても、
1994年頃のパソコンでは処理能力に限界があり、
即座に文字検索ができませんでした。
そのため各用語のコード番号で検索をかけていたのです。
コード番号は時期別に付けてあって、
たとえば、飛鳥文化の用語なら「514XXX」、
白鳳文化の用語なら「516XXX」といった具合です。
このコード番号を覚えておいて該当ページを引っぱり出すわけです。

話がそれてしまいましたね。

そんなこんなで時期判別能力が備わってからは、
時期違いのダミー選択肢を、瞬時に消せるようになったのです。
なぜそれが強みかというと、
文化作品は特定の出題パターンで出るとはかぎらないからです。
実際にはさまざまな解釈、さまざまな観点から作品名が問われます。
でも、誰が作問しようとも、成立時期にブレはありません。
時期から解答を絞り込めば、はるかに正解しやすいんです!
(※上智大の問題では、成立時期の判別がもう一段階難しいです)

時期違いのダミー選択肢を並べる問題が多い裏側には、
作問者側の事情が見えかくれします。
時期の異なるダミー選択肢を並べておけば、
「この選択肢でも正解になるじゃないか!」
などと受験者側からクレームをつけられずに済むためです。

時期判別を意識するようになると、
名前が似通っている用語にも注意するようになります。
このことは書き問題でもミスを減らす効果をもたらしました。

つづきはまた明日

『聴くだけ日本史−美術史編−』