僕の家にはテレビがないのですが、ちょうど奈良のホテルで、
総選挙の開票速報を見ることができました。
歴史に残る選挙でしたので、ついつい深夜まで見てしまいました。
選挙権がなくて参加できなかった人は残念でしたね。
その翌日に、最初に向かったのは法隆寺でした。
小学校の修学旅行で行ったはずが、何一つ覚えておらず、
ちょっと空しくなってしまいました。
まあ興味がないとそんなものかもしれませんね。
今なら、入試で得た知識がだいぶありますし、
この目で見て確かめてみたいものもいろいろあります。
実際、金堂の中にいらっしゃったお寺の方から、
たくさん話をうかがうことができました。
1949年の金堂の火災の話は非常に興味深かったです。
お寺の人たちのあいだには、焼損してしまった壁画のことを、
「意外と味があってイイ」なんて声もあるそうです。
なるほどなあと頷かされました。
それから、ちょっと笑えたのは、
法隆寺再建説に否定的だったことです。
607年に建立された法隆寺は、
670年に全焼したと『日本書紀』に記されています。
このため、今の法隆寺は再建したものだという説があるのです。
元の法隆寺らしき伽藍跡の若草伽藍跡も見つかっているほどです。
僕は空気を読んでその話はしなかったのですが、
横から別の観光客が、
「これって再建したんですよね?」と質問しちゃったのです。
すると「そういう説もありますけどね」とサラッと流していました。
そしてその後も、
「この金堂の扉は檜の一枚板で、607年の建立からこのまんまです。」
と説明なさっていました。
再建したとしても、もう十分古いんですけどね。
しかし、この法隆寺でもっともインパクトが強かったのは、
拝観券をチェックしている係の人でした。
神妙な面持ちで写真集らしきものを読んでいたのです。
表紙に「ASUKA」というタイトルが見えました。
「なるほど! 外国人に説明できるように勉強してるんだ。
たしかに来年は、外人客も増えるかもしれないからなあ。」
などと感心して、また五重塔を連写したのです。
でも、もう一度振り返って見てみると、
表紙は大自然の写真で、タイトルも「ASUKA」じゃなく、
「ALASKA」ってなってたんですよ!
なんと係のおじさんは、
アラスカの旅行パンフレットを読んでいたのでした。
日本文化にどっぷり浸かっていると、
アラスカに憧れたりするものなのでしょうか?
「隣の芝生は青い」ってヤツですか。
「ないものねだり」ってヤツですか。
いや、そもそもここは関西なので、
あれはギャグだったのかもしれませんね。
ってことは、僕はつっこまなければならなかったのでしょうか?
うーむ、自分の不甲斐なさを反省しなければなりません。
関西ではツッコミそびれると怒られるそうですから。