『きた論』作成奮闘中(7)

先週ここでお見せした『きた論』の問題は解けたでしょうか?
本気で論述問題の対策をする人は、
必ずそれを解いてから、ここから先を読んでください。
解かずに読んでしまうと、
せっかくの貴重な1題が台無しになってしまいます。

問題はこちらでした。
 浜口雄幸内閣の蔵相井上準之助が1930年に行った金輸出解禁と,
翌年,犬養毅内閣の蔵相高橋是清が行った金輸出再禁止の2つの
政策の目的と影響について,160字以内で述べよ。


模範解答はこちらからダウンロードできます。

このブログでは、『きた論』の解説・アドバイスが、
どんな感じになっているかをお伝えします。

【よくあるマチガイ】
●内閣・蔵相・年代を解答に盛り込んだ
 設問文に内閣・蔵相・年代は書かれているため,この問題ではできるだけそれを省いて解答を作るべきでした。模範解答ではどれも書かれていません。今までの内閣名を書いて述べさせる問題に慣れてしまっていたかもしれませんね。このテーマは書くべきことが豊富にあるため,160字に内閣名などを盛り込んでしまうとすぐにマス目が足りなくなってしまいます。逆に言えばその点を配慮して,設問文が作られていたわけです。論述問題では,採点者側は採点がしやすいように(言い換えれば,いろんな解答の可能性をなくすために),問題にいろいろな条件を付けてきます。「目的を述べよ」とか「影響を述べよ」というのがそれです。早稲田の場合は,指定語句を使わせることで別のことを書かせないようにしています。出題者が求めている解答に仕立てるように務めましょう。
●「ソーシャルダンピング」は入れるべきですか?
 「ソーシャルダンピング」は加点される可能性もあります。その場合は1点プラスとなります。ただし,管理通貨制度や綿織物などの方が用語の優先順位は高いです。

【アドバイス】
 これは書くことの多い論述問題でしたね。キーワード満載の解答に仕上げられたでしょうか? そもそも金解禁の目的というのが定番の論述問題です。「外国為替相場の安定と輸出促進」ですね。このフレーズは丸暗記しちゃうくらいでいてください。そして旧平価による金解禁が円の切り上げだったために不況となったこと,そこに世界恐慌が重なって昭和恐慌になったことを書いてください。昭和恐慌の原因として金解禁政策と世界恐慌を並べるのがポイントです。この昭和恐慌の結果は,マス目のあるかぎり列挙してください。輸出減少・失業者増大・正貨流出・米価下落です。これにともなって小作争議や労働争議の件数も増えました。
 次に金輸出再禁止ですが,その目的としては正貨の流出を防ぐことを触れつつ,結果でもある「恐慌からの脱出」につながるように書きましょう。高橋是清蔵相は,金兌換を停止して管理通貨制度に移行するとともに,赤字公債(国債)を発行してインフレ政策をとり,軍事費と農村対策の費用(時局匡救費)の支出を増やしました。これは円為替相場を下落させることになったため,円安で輸出が増大したわけです。恐慌からの脱出として象徴的な「綿織物の輸出額が世界第1位」になったことにも触れたいです。1933年のことでした。
 この問題は大変頻度の高いテーマなので,しっかりとした理解のもと,各用語の優先順位も十分把握して,すらすら書けるように慣れておきましょう。

『きたえる論述−早稲田・慶應−』は、
「通信添削バージョン」のお申し込みをこちらで受付中です。
「自己採点バージョン」をお求めの方は12月3日までお待ちください。