『難関大用語集解』編集日記(4)

執筆・編集作業とも大詰めを迎えています。
校正スタッフの2人は、本書の「かゆひ所へとゞきすぎ」っぷりに、
笑いを通り越してあきれているようです。
ハイレベルな問題を解くときの答えの導き出し方などは、
僕も相当楽しんで書いています。
さすがに赤本や他社の問題集の解説までは比較していませんが、
出題率的には焦点のぴたりと合った解説が
できていると自負しています。
易しい問題は皆無ですから、
入試の厳しさを嫌と言うほど見せつけられるはずです。
もちろん何を覚えるべきかを明らかにしていますので、
習得もしやすいはずです。
小さなまとめもたくさん用意しました。
なので、次のような質問などありえない教材になっています。

<Sさん>
遅くに申し訳ありません、Sです。1つ質問なのですが、基本を固めようとノートを復元したあと、Z会の実力をつける100題をやっていたのですが、鑑真について疑問に思ったことがあります。問題で、「帰朝する遣唐副大使大伴古麻呂・吉備真備らに伴われて来日を果たした鑑真のような唐僧もいた。鑑真は戒律を伝えるために招請された僧侶で、754年東大寺に戒壇を設けて(  )天皇等に授戒した」という文で、(  )に天皇名を入れるのですが、講義の自分のメモでは聖武天皇と書いてあります。ですが、解答は孝謙天皇になっていました。疑問に思い、用語集などでも調べたのですが、いずれの天皇にも授戒していると書いてあり、区別はどうしたら良いか迷ってしまいました。自分のノートには聖武天皇に授戒と書いてあるのですが、間違いでしょうか?孝謙天皇になおすべきでしょうか?詳しく教えて下さいm(__)mよろしくお願いします。

<石黒>
その問題はどこの大学の問題ですか?

<Sさん>
大学の出典が書いてないので、おそらくZ会のオリジナル問題かと思います。

<石黒>
ブログでも何度も書いているのですが、
それゆえにZ会の問題集はお勧めしていないのです。
どちらかというと悪い問題集とさえ思っています。
S君が受験するのは大学であって出版社ではないのですから。
くれぐれも解説の太字を参考にしないようにしてください。
そして授戒の話ですが、
史料問題の出題で聖武天皇が問われるためそれを強調したのです。
その事情は授業であるエピソードをまじえてしゃべったのですが、
覚えてませんでしょうか?
録音したものがあればぜひ聴き直してもらいたいと思います。
この話から推察するに、残念ながらS君は、
行間の話が結構抜けてしまっていると思います。
通年授業の半分が終わろうとしています。
もったいないことにならないように授業を吸い取っていってください。

鑑真が来日した時の天皇を考えつつ、
一方で、誰に戒律を授けたのかを考える必要があるのです。
推測するとS君は用語集では調べたものの、
「時期」をあまり考えていないのではないでしょうか……。
どちらにせよ本当に実になる教材を使うことをお勧めします。