学習院女子大の質問と電子辞書

今年最初の入試問題の質問メールを紹介します。

<Tさん>
学習院女子大の問題で、いくつか質問させていただきたいことがあるのですが…。
(1)峻険な山の上にある[ ア ]宿は麓の小田原宿と三島宿からそれぞれ50戸を移住させてあとから作られた宿場である。
(2)宿場の任務は、第一に人や荷物を次の宿場に運ぶための人馬役を負担することにあった。宿場には一定数の人馬が常備されており、公用の旅行者はこれを無賃か低額の御定賃金で使用することができた。一般の旅行者はその約[ オ ]倍の相対賃銭を払わなければならなかった。
(3)(宿場の任務の)第三の任務は通信業務で、幕府公用の書状や荷物を運ぶ[ カ ]が各宿に待機していた。これら宿場の業務を果たすために[ a ]が置かれ、宿役人が詰めた。その中で問屋は宿の業務を総括したが、大名たちが宿泊する[ キ ]や、村の名主を兼ねている者も多かった。
(4)(海上交通の話で)[ b ]には[ ケ ]が陸奥国幕領の年貢米を太平洋沿岸より江戸に海上輸送して、東廻り海運を開き、続いて出羽国幕領の年貢米を運ぶため、日本海沿岸から関門海峡を経て瀬戸内に入り大坂へ、その後紀伊半島を回って江戸に入る西廻り海運を開いた。

aは四択で、(1)問屋場 (2)駅 (3)掛屋 (4)土倉 なので、(2)でいいんですよね…???
bも四択で、(1)17世紀前半 (2)17世紀後半 (3)18世紀前半 (4)18世紀後半 とあり、わからなかったので帰ってから辞書で調べてみたら1618~1699の人となっていました。これは17世紀後半にするべきなんですか…???
で、カは継飛脚、ケは河村瑞賢だと思ったのですが、アとオとキがわかりませんでした↓↓自分で穴埋めする問題です。

それから、正しいものには〇、間違っているものには×をという問題で、
・道元を開祖とする曹洞宗の中心寺院は、福井の永平寺である
というのは間違いですか???何のためらいもなく〇にしてしまったのですが、念のためまた辞書で調べてみたら(無駄なことかなぁと思いつつ…)、開祖は違う人になっていました。それとも、受験では開祖=道元としてしまっていいのでしょうか??? せっかくの旧正月に長々と質問してしまって、しかもノートに書いてあることだったりしたらすみませんm(_ _)m よろしくお願いします。

<石黒>
[ ア ]は箱根です。
「峻険な山の上」と地名がヒントになるでしょう。
「まさか53宿を順番に覚えていろなんて問題はあるわけない」
と考えれば、ノートにある単語から正解が推測できます。
図説に53宿が書いてありますよ。
[ オ ]は難問ですね。2ですかねえ。
[ a ]はややイレギュラーな出題ですが問屋場でしょう。
なぜ「駅」?
[ b ]は普通に17世紀後半です。用語集にありますよ。
ノートには西廻り航路の年代が書かれています。
道元を開祖とする曹洞宗は正しいですよ。
一体どういう辞書を引いているのでしょう?
受験日本史のためには用語集を使うべきです。
ぶっちゃけた話、超難問はスルーしてまったくかまわないし、
用語集とかでわかるものは、
それで解決した方がメールを打つよりは早いと思います。

歴史用語を勘違いしていて正解できなかった問題は、
用語集や教科書で確認し直す必要がありますが、
多くの受験生が気になるのはどちらかというと、
それらの自滅した問題ではなく、
誰もが解けないような難問であることが多いです。
まあ「誰も解けませんよ」と言われて安心したいというなら、
質問してくだされば良いのですが、
一方で、自滅した問題を軽視してしまったら本末転倒です。
受験に勝利するために重要なのは、
うろ覚えで解けなかった問題や、
思い違いで解けなかった問題を解けるようにすることです。
人はなかなかジブンの過ちを注視できないものですが……。

上記のTさんがどんな辞書を使っていたのかはわかりませんが、
受験日本史にとって電子辞書というのは価値のないものです。
講習などでは相変わらず授業中に電子辞書を引いている人を見ます。
入試問題が用語集から作られていることが多いのを、
知らないのでしょうか?
さらに言えば、電子辞書で引いてわかった事柄というのは、
「また電子辞書を引けばわかる」というココロがはたらいて、
なかなか身につきにくい気がするんです。
そんなのは暗記ギライな僕だけでしょうか?

もし高校2年生でこれから受験勉強に入るという人がいるなら、
「受験日本史のためには電子辞書は使わない方が良い」
とアドバイスいたします。