慶應大の悩ましい問題

1月7日はワセヨビの西船校でクイックマスターの講座がありました。
そこでは大和政権と奈良時代の講義をしたのですが、
ちょうどその範囲についての質問メールがありました。

<Hさん>
こんばんは。河合塾藤沢現役館で石黒先生にお世話になっている、Hです。今日、03年慶応大学文学部の問題を解いたのですが、わからない問題が一問あったので、解説をお願いします。

問 文中の空欄に該当する適当な語句を、それぞれ1~9の中から選べ。適当なものがない場合は0とせよ。

朝鮮半島南部の( F )では古くから小国の分立状態が続き,大和政権が影響力を及ぼしていたが,6世紀に入ると,( G )がこの地域に勢力を伸ばし始めた。( H )天皇の即位後,大和政権はこれを阻止するため軍隊を派遣しようとしたが,( G )と結んだ( I )国造が反乱を起こした。その後も大和政権の半島における勢力は徐々に後退し,6世紀後半には( F )における拠点を失った。国内ではそれまで力を振るっていた( J )氏の勢力が低下した。

1 物部  2 馬韓  3 弁韓  4 高句麗  5 大伴  6 継体  7 欽明  8 新羅  9 対馬

空欄( J )なんですが、6世紀後半なので、物部守屋が蘇我馬子に滅ぼされたことだと思い、回答を1として、間違えてしまいました。赤本の解説によると、大伴金村が失脚したことを指しているらしいのですが、それだと540年なので、本文中の「6世紀後半」と食い違ってしまうような気がします。守屋のことだと、587年なので納得がいくのですが…
お忙しいところ申し訳ありませんが、よろしくお願いします。

<石黒>
文章を丁寧に読んでみると、必ずしも6世紀後半のこととは限らず、
6世紀のことのように読み取れます。
そうすると「衰退」という言葉のニュアンスにあうのは、
蘇我氏に討たれた物部氏よりは、失脚した大伴氏だと推測できます。
そして何よりも、朝鮮半島における拠点を失った遠因として、
大伴金村が任那(伽耶)4県を百済に割譲したことが、
あげられるじゃないですか。
なかなか難しい問題でしたね。

慶應大文学部の日本史は、論述問題以外なら高得点が出やすいです。
丁寧に問題を解いていってください。