マークシートの入試なら漢字は書けなくていい?

上智大学は記述問題をいっさい出さない大学ですが、
だからといって、漢字を軽んじているわけではないようです。
歴史用語を正しい漢字で覚えているかどうかを、
かなり厳しい方法でチェックしてきます。
一例を挙げてみましょう。
2004年の上智大学の問題です。

問 いわゆる三大勅撰漢詩文集にあたるのはどれか。選択肢から最も適切なものを選び,その番号で解答しなさい。
1.経国集  2.性霊集  3.和漢朗詠集  4.陵雲集
5.千載集  6.文華秀霊集  7.鳳鳴集  8.閑吟集

パッと見て「ああ、3つともを答えさせるのか」って思いました?
「漢字変換ミス?」って思った人もいるかもしれません。
普通そう思いますよねえ。
違うんですよ。あくまでも解答は1つのつもりのようです。
正解は1です。
4(陵雲集)は「凌雲集」なら正解ですが、漢字が違いますね。
6(文華秀霊集)は「文華秀麗集」でないため不正解なのです。
この大学はこんな形のダミーを並べてくるんです!

これを読んでいる大人の方々はあきれたのではないでしょうか。
こういう問題を大手予備校の模試で作問したら大変です。
問題チェックの会議でボロクソに言われるでしょう。
だって「陵雲集」や「文華秀霊集」なんて、
出題者個人による造語なんですから。
普通は歴史上存在するものをダミーとして並べるものです。
造語を並べて受験生を騙すっていう作問方法が、
僕はなんだかなあ……って思います。

しかし文句を言ってられないのが受験生です。
上智大を受験する人は、
こうした問題を正解できる能力を養っていきましょう。
出版社の人事の方には、校正要員として、
上智大日本史選択受験者を採用することをお勧めしますね。