早稲田予備校のT君から質問メールが来ていました。だいぶ遅れて返信しました。
<Tさん>
質問なのですが、先生は一問一答はレベルが低いとおっしゃっていましたが、ちゃんとノート覚えをした古いページの復習の確認として利用するのはどうでしょうか?友達からもらったZ会の日本史B用語&問題2100を発見してやってみましたが問題もマーチ以上が多くなかなかよいと思いました。それともやはり余計なものに一切手をださずに復習はノート再現を徹底すべきでしょうか?よろしければアドバイスお願いします。
<石黒>
返信が遅くなり申しわけありません。一問一答についての質問ですが、Z会のは入試問題から作られた問題となっている点と、それなりの出題率を意識している点では良いと思います。ただし、ノートの用語をすべて出題してくれているわけではありません。たとえば岩宿遺跡という遺跡名は問われているかもしれませんが、県名・発見者・時代・発見された地層は問われていないのではありませんか?というわけで、一度やってみること自体は否定しませんが、二度、三度とやるものではないでしょう。また、それをやっていることで安心しているなら逆効果です。ノート復元から逃げていなければ良いのですが……と感じました。
一問一答集にせよ、問題集にせよ、どうしても問える用語はかぎられてしまいます。その理由がわかりやすいのが文化史です。たとえば、
法隆寺金堂釈迦三尊像の作者は誰か?
と出題した場合、作品名を聞く問題は出題できませんよね?しかも、「飛鳥文化」なんて見出しの下にこうした小問が並ぶとしたら、
法隆寺金堂釈迦三尊像は何文化の時の作品か?
とは出題できないわけです。だからこそ『でる日講義−とことん文化史−』に付属する「頻出用語でるとこチェック」では、、問題文にも赤字をほどこしているんです。こんな感じですね。
飛鳥寺釈迦如来像とともに,鞍作鳥の作といわれる,聖徳太子の病に際して発願され,その没後に造られた北魏様式の仏像は何か。
『本当にほしかった問題集 日本近現代史』で、この問題文にも赤字を入れる方法を使い出してから、あちこちで利用しています。また、文化作品の時代を『聴くだけ日本史』で問題にしているのも、普通の一問一答では、それが完璧に問えないからです。
ありえない出題パターンなら対策する必要はないのですが、出題データから容易に想定できる方向からの出題には、どんな問題であろうとも正解したいんですよ。想定内の危険に備えておかないのは、幕末バカ幕府だけで十分です。