國學院大の出題ミス、どこが間違い?

先日、新聞で國學院大学の出題ミスの記事が出ていました。2011年の日本史の問題というので、どの問題のことかと調べてみると、史料の空欄穴埋め問題でした。解いてみてください。

 綿は用ひざる国なければ,何れの国にても作るべき物なれ共,( 48 )にては尾張・三河・遠江・駿河は作れども,関東・北国にて余り作る事を聞かず。又九州の地は能く心がけて種々の産物を出せども,綿を作る事は疎かにて多く( 49 )の綿を求め来たれり。(中略)此の綿を所に作れば,繰るに賃を取る女子あり。綿仲買・綿問屋・女の糸をつむぐなどより,手数拾四,五通りもかかれば,各利を得るものありて,家業となりて所の賑ひともなる事なれば,大ひなる国益なり。
(『広益国産考』)

問9 空欄 49 に当てはまる国名を,次のア~オの中から1つ選び,解答欄 49 にマークしなさい。
ア イギリス  イ オランダ  ウ 中国  エ ロシア  オ ポルトガル

選択肢を見た瞬間に「なるほど国名を答えれば良いのか。綿だったら朝鮮から輸入だよな? あれ、選択肢に朝鮮がないぞ」などと考えましたか? ってことは選択肢に「朝鮮」を入れてなかったことが出題ミスなのでしょうか。

いや、そうではないのです。実際の史料にあたってみたところ、( 49 )には「中国」が入っていました。入試本番でも「朝鮮がないから中国を選んどくか」とやった受験生も多かろうと思います。

それではこの問題、どこが出題ミスなのでしょう?

実はここでいう「中国」とは、日本の中の中国地方のことなのです。にもかかわらず「外国」として出題してしまったことが出題ミスというわけです。この問題が「空欄に当てはまる語句」を選ばせる問題だったら、ギリギリセーフと言い張れたかもしれませんが、「国名」と言ってしまっているところがイタイです。

國學院大の発表によれば、この問題を全員正解扱いにして採点し直し、20名を追加合格としたそうです。そして新聞によると、「一律10万円の見舞金の支払いなどの補償措置」を取るそうです。

なかなかいさぎよい姿勢ですね。ただし、出題者はこの部分を「外国の中国から輸入」と勘違いしていたわけで、意外とお手軽に作問しているんだなあという印象を受けました。追加合格者の中には、4月から浪人生として予備校に通っていた人もいるのではないでしょうか。その場合は10万円もらっても、とても釣り合わないですね。作問ミスはもっと早くに気づくべきです。

●管理人より●
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