自分の中の優先順位

昨日のエントリーを読んだおネエさまから、こんなメールが届きました。

Blog読んだよ。
よけい、テレビ買わせたくなった(笑)

このおネエさまは前に、
「そろそろ意地張らないでテレビ見ればいいのに」
と言っていた人です。
まあ、これは冗談でしょうけど、地方の受験生からも、

サッカーの選手たちの細かなひとつのひとつのプレーに、感動や驚きがたくさんあります。

というご指摘をいただきました。
たしかにそうでしょうね。
テニスでもマラソンでも駆け引きがあっておもしろいのでしょう。
自分もそのスポーツをやるなどして、観る目を持っている人には、
たまらないおもしろさがあるのでしょう。
僕がオタクでひねった入試問題をおもしろがるように。

そしてまた、優先順位の問題でもあるでしょう。
自分にとってそれだけの時間を費やすべき対象かどうか、という。

僕の場合はこう思うことが多いのです。

誰にでも、同じだけの時間しか与えられていないのだから、凡人の自分は、対象を絞り込まないと、人より秀でることはできないだろう。

あちこちいろんなものに手を出すと、
どれも中途半端に終わってしまうから、
捨てるものは潔く捨てて、得意分野に専念したいんです。

2歳から書道をやっていたので、それなりにうまかったのですが、
小学校5・6年生の頃、もっとうまい人がいました。
自分は何百枚も同じ文字を書けば、賞を取ることはできるけれど、
その筆にはのびやかさがないことに気づきました。

中学1年からギターを弾いていたので、それなりに上達したのですが、
高校・大学にはもっとうまい人がわんさといました。
自分は練習時間をすごくかければ弾けるようになるけれど、
先天的な音楽の才能はないことに気づきました。

同じような経験をいくつも重ねながら、気づきました。
自分はいろんなことを器用にこなす能力はあるけれど、
時間と労力をかけなければ、エキスパートにはなれないのだと。

いや何もエキスパートなんて目指さなければ、気楽なんですよ。
しかし、なぜか「やるならとことん」な気持ちも育っていたんです。
たとえば、気に入ったミュージシャンの曲は、
全部聴かなきゃ気がすまないし、
それぞれの曲のコードまでも知りたくなってしまう。
また、気に入った作家が見つかると、
その作家の本は手に入るかぎり全部読み尽くしてしまう。

そして、今の僕は大学受験の日本史に、全力を注ぎたいのです。
そのためにはたくさん時間が必要です。
いろんなものを捨ててまでも。
もちろん見方を変えれば、僕のことをこう言うこともできるでしょう。
単に新しいものにチャレンジするのを恐れているタイプ、と。
好奇心が旺盛な人って、
自分がよく知らない分野にもクビを突っ込みますよね?
たしかに僕も予備校講師以外にやりたいことはあります。
2年前はある分野の本をだいぶ読みました。
でもやっぱり今しばらくは、この仕事を最優先したいのです。
もっとエキスパートになれるかもしれないと思うからです。

そして、受験生はどうなんでしょう。
もちろん高い能力がある人なら、
勉強以外にもいろいろ手を出せるでしょう。
そういえば、6年前の浪人生F君はすごかったです。
彼は偏差値40から早稲田政経に受かったんですが、
なんと浪人中にネットビジネスも始めていました。
でも、こんな人めったにいませんよ。

僕は貧乏性なので、高い授業料を払ったからには、
そこに全力で取り組むものなんじゃないかと思うんです。
先週、ある受験生が校舎に相談に来ました。
彼は住み込みで1日に12~14時間、週6日働いて、
大学に入るための学費を稼いでるんだそうです。
食事も十分に摂っていないのか、ガリガリにやせ細っていて、
あまりの逆境にうならされました。

さあ、みなさんの最も優先するものは何ですか?
こんなことを考えていたら、誕生日が終わっていました。

追記 いろんな締切が押し寄せてきたので、ブログはしばらく不定期更新になります。毎日見に来てくださっている方、ごめんなさい。