早稲田法学部の騙されそうな問題

早稲田法学部の第1問の解答について、ご意見をいただきました。

<Iさん>
Iと申します。受験生ですが、でるとこ攻略日本史のホームページに載ってる早稲法の解答速報に誤りがあるかと思いますが。大問I問4う 問6うとなっていますが、問4お 問6えかと思います。なぜ石黒先生の解答速報が誤りなのか解説させていただきます。よかったら参考にしてください。大問Iの問4の正解が「う」になりますと、鎌倉時代の農民は現物納よりも銭納を望んだことになります。また銭納化にともない貫高制になったことになります。石黒先生が普段どのような授業をされているかは存じ上げませんが、僕が調べた限りこのような事実は見当たりませんでした。問6は「え」の選択肢が難解ですが、それ以外は基礎事項ですので消去法で「え」が残るかと思います。ちなみに「え」の選択肢について調べてみましたが、訴訟の第一審を担当したのではなく訴訟の最終裁断権をもっていたようです。早稲田大学の日本史は非常に難しいですが、これからは解答速報全問正解目指してがんばってくださいね。

<石黒>
最初にご意見ありがとうございます。
まず銭納ですが、平凡社『世界大百科事典』の「代銭納」の項に、
農民側から銭納に変更する要求があったことが書かれています。
そして銭納と貫高制の関連について、
I君がどのように理解されているかわかりませんが、
『国史大辞典』には、貫高制が、
「荘園・所領における年貢公事などの代銭納慣行の成立に重要な根拠」
をもっていたと書かれています。
貫高制を戦国大名の家臣団統制策としてしか理解していないと、
その意味がわからないかもしれません。
この問題は推測して解く問題でした。
次に鎮西探題の問題です。
鎮西探題はたしかに最終裁断権を持っていますが、
それでは「第一審を担当」しなかったことにはなりません。
むしろ第一審も担当するので「え」は正文です。
一方、「う」は誤文でした。
これは山川出版の『日本史B用語集』にあるので、
I君でも簡単に調べられると思います。
鎮西探題を設置したのにともない、
鎮西奉行の権限は縮小されました。
このため「鎮西奉行を強化」して、
鎮西探題に改めたわけではないのです。
「京都守護が六波羅探題に発展した」という話と、
ごっちゃになってしまったのかもしれませんね。
以上の理由から正解を出しておりますので、
あしからずご了承ください。
また、激励の言葉をどうもありがとうございました。