順調にマッターホルンに登れたおかげで予備日が2日あまりました。添乗員の話では、「ふつうの人はツェルマット周辺を散策したり、のんびり過ごしてますね」とのことでしたが、貧乏性の僕は「せっかくだから1泊2日でどこか登りたい」と思いました。といってもスイスの山はよくわかりません。他のツアー参加者からの受け売りで、モンテ・ローザにしました。気楽に選んだのですが、そこはスイス最高峰の山です。マッターホルンとはうって変わって雪山登山となりました。
モンテ・ローザ。中央の双耳峰のうち、わずかに高い右側のデュフール峰(イタリア領)を目指します。
モンテ・ローザもマッターホルン同様に小屋からガイドと一緒に登ります。しかし、ベースとなっているツェルマットのホテルから小屋までは一人で行かなければなりません。地図などなくても標識を頼りに簡単に行けると言うので気軽に出発しました。前日のマッターホルン登山の疲れが残ってはいたものの、「日本で何日も縦走していることを考えたら、これくらいふつうだよね」などと自分に言い聞かせて歩き出しました。
目が点になったのは氷河です。氷河の上を歩かなきゃいけないことはわかっていましたが、まさか、こんなにクレバス(割れ目)があるとは思いませんでした。写真の右半分が氷河で、無数にある溝がクレバスです。小さく見える3人の女性は、アイゼンでもつけているのでしょうか。どこを歩いたらいいのかさっぱりわかりません。標識も見当たりません。クレバスを横切らないと目的地にたどり着かないはずなのですが……。途方に暮れつつ、とりあえず先行している人にくっついて行きました。
落ちたら終わりのクレバス。足を滑らさないように慎重に歩いていきます。
先行する3人の女性が休んでいるところに追いついたので、道を知っているのか聞いてみたら、話が通じません(涙)。でも彼女たちがここに来るのが「first time」ということだけは聞き取れました。うーむ、あてになりませんね。不安にかられたのは、ようやく見つけた標識が倒れているものばかりだったことです。日本と違ってこちらではメンテナンスをしないのでしょうか……。と、ふと見上げると尾根上を歩いている人たちがいました。あ-、やっぱりもっと良い道が別にあったのです。がっくりうなだれながら、泊まる予定のモンテ・ローザ小屋方面に足を進めました。そうして3時間半、なんとか小屋にたどり着きました。この後も英語のできない僕は心細い思いをさんざんしたのですが、恥ずかしすぎるので書けません。「次なる課題は英会話!」と、強く心に誓いました。
モンテ・ローザ小屋から見たマッターホルンとゴルナー氷河。最後の方に出てくるのが氷河です。この上を歩いて小屋まで来ました。
Posted by 石黒 拡親 on 2015年8月5日
モンテ・ローザ小屋から見たマッターホルンとゴルナー氷河。最後の方に出てくるのが氷河です。この上を歩いて小屋まで来ました。