2010年早稲田大社会科学部の質問

以下の問題について質問がありました。

史料
太政官符す
 応に勅旨開田并びに諸院諸宮及び五位以上の,百姓の田地舎宅を買ひ取り,閑地荒田を占請するを停止すべきの事。右,案内を検するに,頃年,勅旨開田遍く諸国に在り。……出挙(編注:この「出挙」の部分に下線)の日,事を権門に託して正税を請けず。……

問8 下線(編注:出挙)に関して,不適切な記述はどれか。2つ選べ。
イ 出挙とは春に苗を貸し付け,秋の収穫時に利息とともに徴収することである。
ロ 出挙には豪族たちの行なう私出挙と,国衙や郡衙が行なう公出挙とがあった。
ハ 私出挙の利息は10割になるものもあった。
ニ 公出挙の利息は3割ほどであった。
ホ 公出挙は地方政府の重要な財源となっていた。

2つ選べ問題であることに注意してくださいね。
正解は……

イ(苗ではなく籾)・ニ(3割ではなく5割)です。
さて、この問題について質問をいただきました。

<Uさん>
南浦和で通年授業を受けていたものです。赤本の質問のことでメールさせていただきました!
早稲田2010年社会科学学部の大問1の問8なのですが…
勅旨田廃止の史料?の中の「出挙」に下線が引かれていて問題は5つある選択肢の不適切文を選ぶ問題だったのですが

ニ 公出挙の利息は約3割であった

という選択肢が不適切文という答えで実際に解いているときは選べたのですが
その後、ノートで確認していると
桓武天皇の欄の中に【出挙利稲軽減(5→3割)】という記述に気づき逆に分からなくなってしまいました。(同時にノート覚えの不完全さも気づきましたが…)
でるとこサイトの回答速報の答えも「ニ」を選ばれていたと思います。
お時間がありましたらご教授お願い致します!

<石黒>
史料は902年の延喜の荘園整理令なので、確かにその時点では公出挙の利息は3割じゃないかと言いたくなるかもしれませんが、設問文をよく読むと下線に「関して」とあって下線に「ついて」とはなっていません。この場合は必ずしも902年時点の出挙のことを問題にしているわけではないのです。また、3つの正文がいずれも正しいと判別できるので、消去法で考えても「ニ」は誤文として作問しているのだろうと推測できます。

一度覚えたものを忘れてしまっているのはもったいないです。この時期はスピードを上げてもう一度インプットし直すべきですね。過去問の質問を受けるたびによく思うことです。

難関大用語集解