群馬県立歴史博物館をもう少し紹介します。
僕はジオラマが大好きなんですが、リニューアルのおかげかいろんな遺跡のジオラマが展示されていました。縄文時代の遺跡なのに高床建物跡が出土した遺跡とか、逆に弥生時代なのに高床倉庫が見つからない遺跡とか……。思わずそこにいたスタッフの方に伺ってしまったくらいです。でもそれらは特殊な事例なので、ここでは入試に出題されるネタとして三角縁神獣鏡(さんかくぶちしんじゅうきょう)の展示を紹介します。
さすが太田天神山古墳をはじめ古墳の多い群馬県だけあって、三角縁神獣鏡も数多く出土しています。
次に古墳時代の遺跡のジオラマをごらんください。
東国が馬を産出していたことは立教大でよく出題されていますが、ここ群馬も馬が放牧されていました。まさに県名どおりですね。
ところで日本で馬を飼育するようになったのがいつからか知っていますか? 学習院大学が好きなネタですが、5世紀からです。そのため馬の形をした埴輪が副葬されたのも5世紀の古墳、つまり中期古墳からです。
最近の入試では「世界遺産」がよく取り上げられるようになりました。2014年の武蔵大では大問1問まるごと世界遺産が出題され、地図上の位置まで問われました。しかし世界遺産は遺跡だけではありません。「世界記憶遺産」というものもあります。2013年には藤原道長の日記『御堂関白記』が世界記憶遺産に登録されて、「へー、そんなものが認められるのか」と驚きました。
群馬県では今「上野三碑(こうずけさんぴ)」をその「世界記憶遺産」に登録してもらおうと奮闘中です。これは入試では出題されないネタなので詳しくは紹介しませんが、そこに書かれている内容がなかなか興味深いのです。この地域にもとからいた人たちと、渡来人と服属した蝦夷である俘囚(ふしゅう)がともに住んでいたことがわかるのです。
最後に紹介するのは江戸時代の倉賀野宿(くらがのしゅく)です。
この宿がなぜ注目されるのかというと、中山道の倉賀野から日光街道の今市まで「例幣使街道(れいへいしかいどう)」という道があったからです。江戸時代、朝廷は家康を祀った日光東照宮に「日光例幣使」を、皇祖神を祀った伊勢神宮には「伊勢例幣使」をそれぞれ派遣していました。日光例幣使は京都から東海道を通り、滋賀県の草津から中山道に入って、ここ倉賀野からは例幣使街道で今市に向かったのです。
ちなみに写真の右側を流れる川は、千葉県の銚子に流れ出る利根川です。さまざまな物資を運ぶ船がここまで遡ってきていました。つまり倉賀野は、利根川の最上流にある「河岸(かし)」だったのです。河岸とは河川や運河の岸で船をつけて荷物や人をあげおろしする場所のことです。
これだけでも十分満足したのですが、完全リニューアルではないそうです。グランドオープンは2017年7月だそうですからもっと期待できそうですよ。
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