発刊!『2時間でおさらいできる日本史 近・現代史篇』

1月10日に、『2時間でおさらいできる日本史 近・現代史篇』が発刊になります。早いところでは、今日にでも書店に並ぶでしょうか。

僕が本を書くときには、いつも密度濃く書くのが定番ですが、今回もしっかり書きこみました。戦争責任についての記述に関しては、出版社と最後まで調整が続きました。授業中にその苦労話をしたのですが、その後、藤沢である男子生徒から「例の件どうなったんですか? 通ったんですか?」と気にしていただいたりもしました。
おかげさまで、こちらの要望が通る形での掲載が通り、derutoko.comで出している本並みの満足感を味わっています。なかなかこちらの要望どおりにいかないのが、ふつうの出版社なのです。その「戦争責任」の部分は、受験で問われることがないため、授業ではつっこんで話をすることがほとんどありません。卒業生のみなさんには、驚いてもらえる部分が多いだろうと思います。

頁数も295ページと当初の予定を大幅に上回ってしまいました。編集者さんは「とりあえず書いてもらって、それから削ろう」と考えていたそうですが、結局、ほとんど削られずにすみました。「削ろうと思ったのですが密度が濃く、削れるところがありませんでした」とのことでした。当方としては、山にまで原稿を持ち込んで推敲を重ねていたのですから、ムダがないのはあたりまえです。

前著に引き続きコンビニにも並ぶかと思いますので、ぜひお手に取っていただければと思います。
以下に前書きを掲載します。

はじめに

 最近の日本の政治・経済・外交の閉塞感は、誰しもが感じていることかと思います。その原因はどこにあるのでしょう。それを考えるには、ここ数年の日本をふり返る程度では足りません。約160年前の「開国」まで立ちかえってたどるべきです。なぜなら、今の日本ともっとも関係の深いアメリカとのつきあいが、そこからはじまったからです。中国や朝鮮半島との関係悪化の原因も、明治・大正時代にまでさかのぼらなければ語れません。
 経済面ではバブルの崩壊がよく言われますが、それ以前には石油危機を乗り切って経済大国にのし上がった経験があります。さらにその前には、戦後の焼け野原から高度成長をなし遂げたこともあります。それは「奇跡の成長(Japanese miracle)」とも言われました。しかしそれを言うなら、明治・大正期に欧米列強に追いついていった様にも胸が熱くなります。

 大学入試では、一昔前と違って近現代からの出題がだいぶ増えています。20年近く入試問題の出題データをパソコンに入力している当方は、ポイントをおさえた授業ができますが、何がどう出るかを知らない先生の場合、「大は小を兼ねる」とばかりに暗記づくしの歴史講義になりがちです。暗記地獄にウンザリしてしまったかたも多いのではないでしょうか。
 しかし、明治時代45年間などは、悠久な縄文時代はもちろん最近の45年間とくらべても、多くのドラマに満ちあふれています。まず何よりも、個性豊かな人物たちが、手を取りあったりぶつかったりする様に目がいくでしょう。彼らの胸中に思いをはせて、喜びや悲しみを共感すれば、経験記憶の一種として記憶にものこりやすくなります。その手助けになればと、彼らの興味深い言葉も紹介しました。
 また、政治・経済・外交・文化の絡みあいがはっきりつかめるのも、近現代の醍醐味です。古代史と違って小刻みにできごとが展開するため、それぞれのできごとのつながりぶりを捉えやすいのです。
 さらに、通りいっぺんの知識ではなく、ひとつのできごとを裏側からも見てもらいたいとも考えます。ものごとの両面を知ることは、洞察力を高めるうえで大切なことです。しかも、古代にくらべて資料が多くのこっているはずの近現代でも、意図的に隠されてきた事実があります。本書には、最近の研究でようやく明らかになった内容も盛りこみました。そこでは今まで見聞きしてきた歴史とは違う、意外な真実に驚くはずです。

 前著の『2時間でおさらいできる日本史』では、全時代を見通しました。それに対して本書は近現代に絞ることで、二歩も三歩も踏みこんだ歴史を書きおこすことができました。欧米列強との衝突からはじまった近現代を学ぶことは、今の時代に対処するのには不可欠ではないでしょうか。この本がそのための一助となれば、筆者として存外のよろこびです。

2時間でおさらいできる日本史 近・現代史篇

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