授業の内容について質問を受けました。各予備校とも、ちょうど講義の終わったばかりの部分なので紹介します。
<Iさん>
(前略)昨日の授業のノートを清書していて気になったのですが、日比谷焼き打ち事件の説明をした時、政府寄りの新聞社が襲われたって事だったと思います。今日学校で同じ所をやって、学校のプリントでは「国民新聞社」という所が襲われたとありました。石黒先生は、後から言っていくという事でしたが、その中にこの新聞社も入っているのでしょうか?学校の先生を売ってるみたいで少し気分が悪いですが、石黒先生の授業と違う事だったら嫌なので。あと、万朝報もその対象にはならないんですか?授業でやったのに言ってなかったのが気になりました。黒岩涙香が主戦論になって内村鑑三達はやめたんですよね?それは政府側に回ったって事なのかなと思ったんですが…。
<石黒>
日比谷焼打ち事件で襲撃された国民新聞は、明治文化(1)のプリントに出てきます。
万朝報については、利益優先で常に世論に迎合していました。日露戦争にあたって始めは非戦論を展開していましたが、世論が開戦論に傾くと転向して主戦論に転じたのです。そしてポーツマス条約の頃もやっぱり世論に迎合しているため、襲撃の対象にはならなかったのです。一方政府の考えとしては、山県有朋を例に挙げると、最初は日露開戦を主張しましたが、戦争が終わる際には賠償金がなくても終結させたいと考えていたので、すでに主戦論ではなくなっているのです。人も政府も新聞社も、いつも同じ考えでいつづけるわけではないことに注意してください。
<Iさん>
明治文化プリントの方ですか!気がつきませんでした。なるほど!黒岩涙香恐るべしですね…。そんなにころころ変えてたら新聞社の信頼もなくなりそうですが不思議ですね。ご丁寧にありがとうございました。
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