入試から10カ月後に発覚した作問ミス

昨年の12月、ある大学がとんでもない発表をしていました。
2009年2月実施の入試問題に、作問ミスがあったことが発覚し、
採点をやり直したところ、17人が追加合格となったというのです。
おわびとして10万円を配ったらしいのですが、
そんな額じゃ納得できない人もいたのではないでしょうか……。

ところで、その問題を追っかけてみました。

問 「学徒出陣」について述べた(1)~(3)のうちから誤っているものを一つ選び,解答欄にマークしなさい。誤っているものがない場合には(4)にマークしなさい。
(1) 戦局悪化のために,理科系,教員養成学校以外の大学,専門学校,高等学校在学生の20歳以上の兵役徴集延期を廃止した。
(2) 各地で壮行会が行われ,1943年10月21日に小雨煙る明治神宮外苑競技場で,東条英機首相,岡田長景文部大臣出席の下,関東地方の学生7万名の壮行会がおこなわれた。
(3) 教育に関する臨時非常措置方策が閣議決定され,文科系高等教育諸学校の縮小,理科系への転換,校舎の転用,入隊者の卒業資格の特例などが定められた。
(4) 誤ったものがない。

どうですか?
作問ミスと思われる箇所は(2)と(3)です。
(2)の「岡田長景」は「岡部長景」、
(3)の「臨時非常措置方策」は「戦時非常措置方策」の
誤記だったのです。
正解は(4)のつもりで作問していたと思われます。
こんな一文字違いを誤文と判別させる大学なんて、
上智大くらいしかありませんから。
しかし、(4)を正解としているとしたら、
(1)~(3)を正文と言い切らなければなりません。
どう思いますか?
こんなの普通の受験生じゃ誰も解けませんよ。
中堅レベルの大学なのに、問題は早慶上智を超えています。
作問ミスを見つけたのは、ある日本史の先生ですが、
ここに出てくる用語を片っ端から辞書で調べたのではないでしょうか?
……っていうか、そもそも、
「作問者ですら間違えてる用語を問題に出すなよ!」
って言いたくなりますね。
自分よりアタマの良い学生に入学してほしいってことでしょうか?
確実に言えることは、この作問者が
「岡部長景」や「戦時非常措置方策」を
ほとんど発声していないってことです。
「オカベ」と「オカダ」ってアクセントの位置が違いますよね?
字面だけ追っていても、新しい言葉は身に付かないということが、
ここでもよくわかります。
さすが大学のセンセイですね。
身を挺してお手本を見せてくださいました。
ちょっと言いすぎですかね?
いやいや、この大学は過去にたくさんの作問ミスを連発し、
あげくの果てには合格発表まで間違えた大学なんです。
合格発表した受験番号が、前年度の受験生の番号だったんですよ!
数日後に改めて発表されましたが、
本当は不合格だったのに「合格」と発表しちゃった人たちに対しては、
不合格とはせずに、そのまま合格にしてしまったのです!
それじゃあ、がんばって点数取った人たちが空しくなりますよ。
受験生をナメるのもいいかげんにしろ! ですよ。

ちなみに、去年、このブログで、
2つの大学の作問ミスを紹介しましたね。
試験直後に作問ミスがわかれば、それを採点に反映させられますが、
こんなふうに何カ月も経ってしまうと大損害につながります。
各大学の入試担当のかたは、なんらかの対策をとっておいた方が、
よろしいのではないでしょうか?