中央大経済学部は問題をどうやって作っているか(1)

以前に2008年中央大経済学部の問題の質問を受けました。
あの問題をここに抜粋します。よく見てみてください。

 鎌倉時代の農民は,荘園領主や地頭の厳しい支配を受けた上に,相次ぐ戦乱や飢饉に苦しんだ。しかし,彼らは,耕地の開発を進め,農業技術を改良して次第に生産力を高めていった。農業技術の面では,水車の利用や用水池の整備,( 1 )耕や鉄製農具の普及などによって進歩が見られた。肥料としては,草木灰の他に( 2 )などの利用が進んだ。また,( 3 )の生産も拡大し,楮・藍・荏胡麻などが栽培され,これらをもとに紙・染料・油なども生産したり,絹布や麻布を織ったりした。

問1 空欄( 1 )~( 3 )に当てはまる最も適切な語句を入れなさい。

あの時の質問は、問1の(3)だったわけですが、
この問題を入力するにあたってもう一度検証してみました。
作問者がどうやってこのリード文を作ったか探ってみたのです。
そしてたどりついたのは、これでした。
清水書院の教科書『詳解日本史B』の文章です。
比較してみてください。

 鎌倉時代の農民は,荘園領主や地頭のきびしい支配を受けたうえに,あいつぐ戦乱や飢饉で苦しんだ。しかし,しだいに耕地の開発をすすめ,農業技術を改良して生産力を高めていった。農業技術の面では,水車の利用や用水池の整備,牛馬耕や鉄製農具の普及などめざましいものがあった。肥料としては,草木灰のほかに,刈敷などの利用がすすみ(中略)また,畑作物として楮・藍・荏胡麻などが栽培され,これらをもとに紙・染料・油なども生産された。

まんまパクリ、じゃないですか?
ってことは正解は「畑作物」のつもりなんでしょうか?
うーん、悩まされますね。
少なくとも「畑作物」という解答をバツにはできないはずです。
何しろ、これを見て作っているのですから。
真実はわかるはずもないのですが、
もしかしたら「原料作物」や「商品作物」という解答を、
想定していなかった可能性もあります。
採点が面倒になることを考えたら、
できるだけ別解のない問題を作るはずなんですけどねえ……。
記述問題が多い大学だと、こういうことに陥りがちです。
学内に誰も突っ込む人がいないのでしょうね。

また明日に続きます