『でる日講義−経済・外交史(前近代)−』撮影日記(2)

その後、苦戦しながらもなんとか撮影をしています。
今日は苦心談の一つを紹介します。

撮影開始の日、なぜだか視線が定まりにくかったのです。
それを大手予備校で映像授業をしている先生に話したところ、
「カメラは大きいのを使ってます?」と聞かれました。
なんと、レンズの大きさが小さいとあちこちに目がいってしまって、
カメラ目線をキープするのが難しいんだそうです。
いやはや、いろんなノウハウがあるものです。
以前の撮影ではスタジオに備え付けの、
プロが使うような大きなカメラで撮っていたのですが、
今回はそのスタジオが借りられなかったため、
自前の家庭用ハンディカムを使っているんです(泣)
お恥ずかしい話ですが、超零細企業の当方では、
何万円もするワイヤレスマイクを購入するのが精一杯だったんですよ。
というわけで初日撮影分はすべてボツにしました。
2日目も若干うなだれながらの、
やや低テンション授業になってしまったかもしれません。

そんな僕を見かねたのか、
3日目の撮影ではスタッフがこんなものを作ってきました。

手製布

なんでも、この布をカメラにかぶせるといいんだそうです。
さっそくやってみたところ、効果てきめんでした。

カメラ 前から

視線の先の邪魔になるものがすべて隠されて
レンズだけが見えるおかげで、視線が散らないのです。
これで授業を受けるみなさんと、ばっちり目が合います。
そこが映像授業ならではの長所なんです。
ちなみに裏側にまわってみると、こんな仕掛けがしてありました。

カメラ 後ろから

液晶画面が隠れないように、
かつ布がしっかりカメラに固定できるように、との工夫から、
ボタンをつけて輪ゴムがかけられるようにしたそうです。
モノを作るのは僕も大好きですが、
この作り込みぶりには、笑いを通り越して呆れました。
収録前夜に夜なべしたスタッフ曰く、
「これで全国の皆さんに、石黒先生の熱視線をお届けできます!」
だそうです。
……「熱視線」って、アホですね。

そんなわけで derutoko.com では、極力コストを抑えることで、
小規模生産体制を維持しているわけです。
教材の内容には、どこにも負けない絶対の自信を持っていますから、
中身の質で、高コスト大規模生産組織に挑んでいるつもりです。