江戸時代の思想の問題(2)

お待たせしました。昨日の問題の解説です。
まだ、昨日のエントリーをお読みでない人は、
そちらに問題がありますので、先に読むことをお勧めします。
問題を解いてみてから、こちらをクリックしてください
正解と解説が読めます。


まず、史料の出典と作者はわかったでしょうか?
本多利明の『経世秘策』です。
この史料は意外と出題されているもので、
当然『どこでも史料問題』に収録されています。
重要さをしっかり認識してください。
さて、その本多利明の考えはどうだったでしょうか?
開国貿易を主張したことがポイントでした。
そのほかにも、蝦夷地などの辺境の開発を主張していたことは、
知っていますか?
これを知っていれば「エ・オ」と正解しやすいです。
しかし、この問題を確実に正解するためには、
もっと違う力を持っているべきです。
それは、他の選択肢の主張が誰のものなのかを見分ける力です。

どういうことかと言うと、この手の正誤問題は、
ダミーの選択肢が他の有名人物の主張になっている場合が多いのです。
だから、「それは△△の主張でしょ!」とツッコミを入れられれば、
ダミーを消去できて、正解にたどり着きやすくなるのです。
しかしそのためには、
本多利明以外の人たちの主張を知っていなければなりません。
江戸時代の思想について、丸ごとわしづかんでないといけないのです。
そうした学習法を面倒がって、一問一答にハマっていると、
正解率は下がってしまうでしょう。

この選択肢を見てみると、次の人物が思い浮かびます。
アの「武士は帰農するべき」は熊沢蕃山などが主張していました。
イの「海防を強化して外国の侵略に備え」は林子平が挙げられます。
ウの「農民の勤労・倹約」は報徳仕法の二宮尊徳に見られます。
カの「平等な社会」といえば「自然世」の安藤昌益を思い出しますね。

いかがだったでしょうか?
こうした解き方を直接目にできるのが講習の問題解説授業です。
もっともその前に知識を蓄えていないといけませんね。
もちろん入試に出る「人物」・入試に出る「主張」をつかんで、です。
それゆえに文化史は単純暗記科目ではないのです。
『でる日講義−とことん文化史−』をお勧めするのはそこが理由です。

ちなみにエの「金銀銅の蓄積」というのは、
史料文中の「国用の要用たる産物,及び金銀銅を抜き取て」から、
正しいと判別することも可能でした。