<Uさん>
僕は昨年立教を第1志望にして受験に臨んだのですが、あえなく落ちてしまい、このままでは満足できず浪人を決めました。そしていろいろ考えた結果、志望校を上げ、早稲田を第1志望にすることを決め、今は××に通っています。(中略)僕は河合塾の模試では偏差値70~65あるのですが、立教の入試では5割しかとれませんでした。僕なりに分析して文化史などのテーマ史が弱いことと漢字で書けないことに原因があるのではと言う結論に達したのですが、どうしても欠点を効果的に克服する方法が見いだせずだんだん覚えていた政治史のほうまで忘れてくる始末です。
あとぼくはノートを9面からしかもっていないのでそれより以前も忘れてしまったら参照するものがないので困っています。とはいえ他の教科との兼ね合いを考えると1週間に一日もしくは一日に一時間程度が日本史に時間を割く限界かと思います。自分でも問題集を買ってやってみたりいろいろやってみたのですが、どうもうまくいかず、チューターに相談しても模試の結果でしか意見をいってくれないので、悩んだあげく昨年教えていただいていた石黒先生に相談することにしました。とても忙しいのに難しい相談をして申し訳ないと思いますが何かひと言でもアドバイスをいただければ嬉しいです。
<石黒>
立教大で5割というのはどの学部でのことなのでしょうか?正直かなり低いと思います。今年受験した人からいくつか入試問題をもらっているので、その人達の正解率と比較することもできます。お教えください。ちなみに、Dさんは日本史で8割を超えているのに不合格でした。彼女は早稲田に受かるほど英語・国語もできる人でしたが。そして、模試の偏差値は65を超えるのに……という話ですが、模試の偏差値はあくまでも模試の偏差値でしかなくて、その大学の過去問をどれだけ解けるようになっているかが勝負です。大手予備校の模試は、高校からクレームをつけられると困るので、変な問題は出せないんですよ。でも入試では出ます。だからこそ、僕が早稲田予備校やS.P.Sで作っている校内模試では、いわゆる難問と言われそうな問題も出してしまいます。こちらは「校内模試」なので、誰もクレームなんてつけてこないですから。そういえば先日は、Yさんという埼玉県の現役生で立教に合格した女の子から、「模試ではずっとE判定でした」という話を聞きました。「模擬試験」とうたっているわりに、いわゆる難関大の入試とはずれているところがあるのですよ。
さて、Uさんのメールで気になるのは「忘れてしまう」という部分です。日本史は膨大な情報量を頭に残しておかなければならないので、忘れるのは当然なのですが、忘れないための努力はいろいろしているのでしょうか?ゴロ合わせ・替え歌はもちろん、他のできごととの関連づけや、ノートをわしづかんで覚えることなどを心がけていますか?たとえば、11番ページの全体像をすぐ思い出すことができますか?時間がない中でも効率よく覚えようと努力していますか?テーマ史が弱いというのは、テーマ別の勉強をしていないからという理由もなくはないですが、どちらかといえば、歴史を高い視点から大きくとらえていないために、違う時代に話がとんだ時にすぐ頭が切り替えられないのではないでしょうか?要するに、ノートのページがあちこちにとぶとついていけないというか。本気で早稲田をめざすなら、ノートの復元ができるようになってください。すべてとは言いません。単純に言えば、枠のある部分の復元です。
その後、この彼から返信があり、立教大は法学部と経済学部経済学科・コミュニティ福祉学部を受験したことと、センター試験では9割も取れたことを知りました。センターで9割取れるほどの学力があるのに、なぜ立教大では5割なのか!?
理由は単純です。センター試験では覚えていなくても大丈夫だけれど、立教大では覚えておかなきゃいけない、細かい歴史用語を拾い切れていないからです。たとえば、今年の経済学科では、「忍冬唐草文様」を図版を使って出題し、記述させています。難問といってもかまいませんが、実は2000年に同じ経済学科で記述問題が出されているのです。これにかぎらず、立教大らしい問題がたくさん並んでいました。過去の出題データと見比べると、それはもう、笑ってしまうほどです。こういう文章を書くと、「何が出るのか教えてください」という人が出てきますが、正直に言うと、そんな簡単に教えられるものではありません。出し惜しみをしているんじゃなくて、2~3分で伝えられるようなことではないんですよ。逆に言えば、そんなひとことで言えるような大ざっぱな傾向を聞くだけで満足なんですか? って感じです。講義中にはしばしば大学名を言います。かなり意識してしゃべっていますので、そこでこそ、傾向をつかんでください。ちなみに、冬期講習では、明治・青山学院・立教・中央・法政・学習院・早稲田・慶應の各大学の傾向を、詳しくお伝えできる講座があります。その時に、出題傾向を最終チェックしてくださいね。