無邪気な高校生から『難関大用語集解』について、
「何にお金がかかるんですか?」と聞かれました。
「人件費」と即答したのですが、
ちゃんとわかってもらえたのかは微妙な感じでした。
教科書並みのサイズの本ですから、
かなりの人の手を通しているんですよ。
その中で一番時間がかかっているのが執筆そのものの作業です。
よーく考えると本なんて書く気が失せますが、
僕の時給は300円にも届かないと思います。
まあ、僕の10倍のスピードで書ける人なら、
時給3千円とかになるんでしょうけどね。
口述筆記ってヤツですね。
残念ながらそんなテキトー仕事をする度胸はありません。
やっぱり、この本の価値がわかるのは、
社会のしくみを知っているお父さんの方かもしれませんね。
さて、またまた感想が届きました。
<Xさん>
お久しぶりです。河合塾△△校で浪人しているXです。先日おこなわれた藤沢での早慶大日本史受講させてもらいました。いやぁ、問題解くの楽しかったです。テキストの問題も8割くらいできたんでよかったです。ただ自分は時期に対する意識がまだ甘いと思いました。それがわかっただけでも有意義な講習だったと思います。△△校の○○先生より数倍良い授業だったと思います。笑 あっそれと、今日難関大用語集解届きました。まず厚さに驚きました。失礼ですが、ここまでの教材とは思ってませんでした。次に開けてびっくりしました。その内容の質です。よくこんなすごい教材作ったなとあっけにとられました。この教材と文化史の教材と石黒先生の早慶大日本史を受講した僕は、9月には△△校の他の受験先とどれだけ差がついてるかを思うと本気でにやけちゃいました。資料集、用語集の細かい単語を非効率的に拾いまくったりしてる人たちには正直この教材はお勧めしたくないくらいです。笑 夏休みもすでに中盤戦です。ここにきてペースダウンしてましたが、この教材がきてまたやる気がでました。残りの夏休みを後悔のないように燃え尽きるつもりです。友達には宣言したくないんで石黒先生に宣言します。長文になってしまってすいませんでした。石黒先生もお身体に気をつけて頑張ってください。僕も頑張ります。では失礼します。
<石黒>
テキストの問題の正解率が8割というのは決して高くないと思います。
安心するレベルではありません。
授業中に「難問」と言わなかったところはすべて正解するべきです。
授業では合格者・不合格者の正解率を紹介したので、
参考になったと思いますが、ちょっと心配になりました。
河合塾のテキストは「早慶大向け」と言っても、
若干易しめに作ってありますし。
もっとも、その甘さは『難関大用語集解』で吹き飛ばされるので、
大丈夫でしょう。
あの本は手に持った感じも重厚ですが、中身はそれ以上に重厚で、
スタッフ側は読者がへこたれないか危惧しているほどです。
夏休み中に三大改革の前まで終わらせることを目標にすべきでしょう。
健闘を祈ります。
日本史の問題を、一問一答のように即答するものだと考えている人が、
多すぎるのではないでしょうか。
普通、問題文の説明から解答を導き出しますが、
その解き方だけでは正解しそこねることがあります。
歴史事項の解釈が出題者によって違うからです。
たとえ同じ解釈であっても、別の言葉で説明されると、
とたんに正解できなくなってしまう受験生もいます。
一つの用語につき一つの意味しか覚えていないためでしょう。
だからといって入試で出題されない意味にまで踏み込むのはムダです。
そうなってくると、解答を導き出す際に意外と有効なのは、
解釈のブレがない‘時期’による正解探しなのです。
選択肢の中から時期の違うものを消去するわけです。
もちろん、時期判別だけでは何でも解けるわけではありません。
定番の引っかけ問題を見抜いたり、ダミーの選択肢を見抜いたり、
複数の小問を見渡しての‘合わせ技’を使ったり……。
解法はたくさんありすぎて、とてもここでは書ききれません。
僕は作問者の心まで読むべきだと思っているほどです。
どちらにしても、頭をフル回転させて解いていくわけです。
そうしないと正解率は上がらないんですよ。
最近は短絡的な受験生が多いような気がします。
その原因が‘ゆとり教育’をはじめとする、
今の日本の教育システムにあるとしたら……、
みなさんは大変な被害者です。
薬害エイズとか公害問題に近いものがあるような気がします。
しかし、誰も補償してくれませんから、
自分で乗り越えるしかないのです。
上記のX君からは、その後こんなメールをいただきました。
「人間は現時点に満足したら成長はとまると思いながら部活にはげんできましたが、勉強でも同じだと思いました。常に自分に”飽くなき向上心”を持ってもっともっと頑張りたいと思います。」
これは頼もしいですね。
僕もよく高校生の頃、
「向上心がないものは馬鹿だ」と言っていました。
夏目漱石の『こころ』の受け売りですけどね。