4年間で文化史が1回しか出題されてない!?

先日、こんな質問を受けました。

「過去問を見てみたら4年間で1題しか文化史が出てないんですけど、それって出される確率低くないですか?」

どこの大学かと聞いてみると、早稲田の国際教養学部とのことでした。答えは簡単です。「4年くらいで傾向なんてわかりませんよ」です。過去問は10年くらい調べてようやく傾向が言えるのです。4年くらいじゃ何も言えませんよ。そもそも昨年の問題とかぶらないように作問することが多いのです。ってことは過去4年間と言っても、実質3年分なのです。

それにしてもこの手の質問はあまりに定番です。今までこの質問をした大半の生徒がそうだったように、彼も「文化史から逃げたい」という気持ちでなければ良いのですが。

ところで、例によってこのやりとりを反芻しながら、不思議に思い始めました。「そんなに国際教養学部って文化史出なかったっけ?」と。それで赤本の「傾向と対策」のページを見てみたのです。そうすると、2004~2008年の大問内容の紹介で、文化史っぽいのは06年の「仏教の受容と浸透」だけなのです。それでわかりました。さては、この表を見て彼は言ったんだな、と。実はもう1年さかのぼると、04年に「古代~近世における儒教の需要と浸透」が出ています。そこまで見ていないわけです。

いや、それを言うなら、これらはあくまでも大問にタイトルを付けた表にすぎなくて、小問だったら文化史問題はあちこちに潜んでいるのです。それは、僕のデータベースを見ればすぐにわかります。何しろ僕が調べているのは、大問ごとの出題内容などではなく、あくまでも正解に必要だった歴史事項なのですから。というわけで、見てみたら案の定、毎年文化史分野からの出題がありました。いいかげん、騙されるのはやめた方がいいです。騙されるにしても逃げるにしても、どちらにしても、後で損をするのは自分ですから。

ちなみに、時々、大問ごとの傾向分析程度で満足している人がいて、唖然とします。どんなテーマの大問が出てるかがわかったところで、どのくらいの難しさで出題されているか知らなきゃ、結局解けないと思うのですが……。どの用語が、どういう問い方で出題されるかを分析しなかったら、意味がないと思うのです。当然、その問い方にもさまざまなパターンがあるでしょうから、何がポイントなのかを知る必要があります。

映像教材『でる日講義−とことん文化史−』は、単純な出題パターンを提示する教材などではなく、さまざまな方向からの出題に対応できるように作った教材です。実際その経験ができるように演習問題がばっちりついています。ちょうど受講中の方は、十分に講義を理解した上で、演習問題にあたってください。