心を開かない生徒を導く大変さ

昨日のエントリーには後日談があるのです。
まずは次の質問をお読みください。

<Mさん>
こんにちは。先生の講座をとっているものです!私は早慶を第一志望にしています。ですが私はノート覚えが苦手で…問題集を解いてノートを確認していくという形をとっています。夏休みは文化史と先生の講座と多少の赤本でぎりぎりでした。まだ基礎が固まっているとはいえません。そこで質問なのですがこの秋からはひたすら赤本をやっていけばよいのでしょうか?今手元に山川出版の「日本史問題集」があるのですが、これも入試問題の寄せ集めなのでこちらを先にやるべきでしょうか?
お返事よろしくお願いします。

<石黒>
いくつか質問させてください。
(1)英国社の得意・不得意はどんなバランスですか?
(2)過去問の正解率はどのくらいですか?
(3)ゴロあわせを使った覚え方はしていますか?
(4)しゃべり勉強はしていますか?
(5)でるとこサイトの「しつもん大全集」にある
ノート復元についてのページは読みましたか?

<Mさん>
お返事ありがとうございます。英国社のなかでは日本史が飛びぬけて苦手です。過去問の正解率は日本史45%位です。先生のゴロ合わせ本を使って覚えています。しゃべり勉強はしていません。「質問大全集」は、今読みました。復元に対する意欲が甘かったように思いました。

<石黒>
英国で8割後半、日本史が6割くらい取れるなら、
早慶でも学部によっては受かるかもしれません。
その道を探るなら止めませんが、
日本史で7割取りたいなら、
「まとめたものをわしづかんで覚える」ということを、
せざるを得ないと思います。
過去問を他学部も含めて30年分解いたとしても、
今まで出題されたことのない問題が5割は出題されます。
結局、覚えるべきものを覚えていなければ得点できないのです。
しかも、ブログの「脱!一問一答脳」
というエントリーでも書いたとおり、
単純に知識を積み上げるだけでは正解できない問題も多いのです。
あの質問のIさんもMさんと同じ校舎の受講生ですが、
彼女はすでに気づいてしまっていますよ。
これらのことが夏期講習で伝わらなかったことが残念です。

上記の返信をMさんにお返しした際に、
事前に書いてあった昨日の記事を添付したのです。
もしかしたら気づいてもらえるかもしれないと思って、です。
そうしたら、次のように返ってきました。

<Mさん>
私はノート覚えを最初からあきらめていたように思います。これからは過去のノートも含め、先生が提示している方法を駆使しながら学習を進めていきたいと思います。まだ遅くないですよね?遅くないと信じます。
Sさんのメールの女の子が自分と重なって見え、自分の視野の狭さを痛感しました。受験を経験した人の発言はやはり真実味がありますね。普段の授業で先生とお話する機会はめったにありませんが、メールとはいえ自分の今の状況を知ってもらい、アドバイスをいただくことでモチベーションが上がりました。ありがとうございます。2学期からもよろしくお願いします。

たぶん、Mさんは昨日の記事を読むことで、
自分を客観的に見ることができたのでしょう。
S君と「なかなか心開かない生徒」のやりとりが、
まるで僕とMさんの関係と同じだと思ったんじゃないでしょうか?
そして、S君自体が‘変わることができた’受験生だったために、
ようやく自分のことがわかったのでしょう。
これはおもしろく感じました。

ついつい、いろんなことを考えてしまいますが、
自分のことを、高い視点や後ろの方から見ることができると、
進むべき道が見通しやすくなります。
自分が何をすべきかわからない人というのは、
目先のことしか見ていない人です。
過去の歴史も、高い視点から見おろすべきですが、
自分自身についても、高い視点から見おろして、
客観的にとらえるべきでしょう。
それができなきゃ、まだまだコドモってことかもしれません。
‘青い’ことは否定しませんし、世の悪いオトナとは戦うべきですが、
自分のガキっぷりも知っておかないと勝てなくて当然です。

それにしても、やはり、
「なかなか心開かない生徒を導く」のは大変です。
これを飽きることなく続けていかなければならないのが教師です。
それを何十年も続けているベテランの先生には頭が下がる思いですね。
僕はそれほど長くは続けられない気がします……。